合意なき離脱で「1分で680万円の損失」、英自動車工業会が警告

英自動車工業会(SMMT)は6月25日、英国が何の取り決めもないまま欧州連合(EU)から離脱する「合意なき離脱」が現実になった場合、英国の自動車業界は1分につき約5万ポンド(約680万円)、1日あたり約7,000万(約95億円)の損失を被るとの試算を明らかにした。EUとの貿易で関税が生じるほか、通関手続きや物流の停滞などにより深刻な打撃を受けると警告。政府に対し合意なき離脱の回避を強く求めている。

SMMTのマイク・ホーズ会長はロンドン市内で開いた記者会見で「正しい選択をすれば明るい未来になる可能性はあるが、合意なき離脱は明確な今現在の危機だ」と強調。「英国が合意のないままEUを離脱すれば、自動車業界は今まで経験したことのない貿易条件の激変に直面することになり、数十億ポンドに上る関税が消費者の選択肢を狭めて売り上げを直撃する」と警告した。ホーズ氏はそのうえで、メイ首相の後任として今月下旬にも就任する次期首相の最初の仕事は「摩擦のない通商関係を維持するため、EUとの合意を取りつけることだ」と述べ、「合意なき離脱は選択肢になり得ない」と繰り返し訴えた。

合意なき離脱を迎えた場合、英国とEUの間で乗用車の輸入に最大10%の関税がかかることになる。SMMTによると、英国からEU側に小型車を輸出する際の関税は年間19億ポンド、EU側から英国向けに輸出する際の関税は31億ポンドに上る見通し。これを販売価格に転嫁した場合、EU側で1台あたり2,800ポンド、英国では1,700ポンドの値上げにつながるという。

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