英議会補選で保守党が敗北、ジョンソン政権に打撃

英西部ウェールズのブレコン・ラドナーシャーで1日、英議会下院の補欠選挙が行われ、欧州連合(EU)残留を訴える野党・自由民主党が議席を獲得した。この結果、下院での与党・保守党および閣外協力政党と、野党勢力との差はわずか1議席となった。10月末のEU離脱期限が迫る中、合意なき離脱も辞さないジョンソン新首相は厳しい政権運営を迫られそうだ。

今回の補選は、保守党のクリス・デービーズ議員が事務所経費の不正請求でリコールされたため実施された。ジョンソン氏の首相就任から8日後に行われた初の国政選挙には、保守党と自民党のほか、最大野党・労働党、EUからの早期離脱を唱えるブレグジット党などから計6人が出馬。不祥事からの再挑戦で厳しい戦いとなったデービス氏の得票率は39%にとどまり、43%を獲得した自民党のジェーン・ドッズ氏が当選した。

下院の議席数は議長団などを除いて639。補選の結果、保守党と閣外協力する北アイルランドの民主統一党(DUP)を合わせた議席数は320、無所属を含む野党勢力は319と、その差はわずか1議席となった。保守党議員のわずかな造反で内閣不信任案が可決される状況で、10月末のEU離脱に向け、ジョンソン氏の強硬姿勢に反発する党内穏健派の動きが活発化する可能性もある。

ドッズ氏は勝利宣言で「ジョンソン氏にわれわれの未来をもてあそぶのを止めさせ、EUからの合意なき離脱を阻止することが下院での最初の任務だ」と強調。自民党のスウィンソン党首は「保守党の過半数割れが近づいている。つまり、国民はジョンソン氏がこの国を合意のないまま強引にEUから離脱させるのを認めていないということだ」と指摘した。

上部へスクロール