英最大野党・労働党のコービン党首は、欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」も辞さない構えのジョンソン首相の動きを封じるため、早期に内閣不信任案を提出するとともに、自らを首班とする暫定政権の発足を目指す方針を固めた。他の野党党首と反ジョンソン派の与党・保守党議員に宛てた14日付の書簡で明らかにした。労働党は9月3日に再開する議会下院で内閣不信任案を提出する可能性があり、強硬離脱に反対する与党議員の取り込みに向けた動きが活発化しそうだ。
ジョンソン氏はEUとの合意がないままでも期限の10月末に離脱するとの主張を繰り返しているが、与党内でも同氏の強硬姿勢に対する反発が根強い。下院での保守党および閣外協力政党と、野党勢力との差はわずか1議席となっており、保守党議員のわずかな造反で内閣不信任案が可決される可能性がある。
コービン氏は書簡で、労働党が提出する内閣不信任案を支持するよう要請。不信任案が可決された場合、与野党の反ジョンソン勢力で「厳格に期間を限定した」暫定政権を発足させ、EUに離脱時期の延期を申請したうえで、総選挙を実施する構想を明らかにした。コービン氏は「ジョンソン政権は合意なき離脱に対する国民の信任を得ていない」と指摘。総選挙では2度目の国民投票の実施を訴える方針を示している。
議会下院で内閣不信任案が可決した場合、14日以内に新政権を発足させる必要がある。コービン氏は自身が暫定首相に就く方針だが、下院で14議席を有するEU残留派の自由民主党は現時点で同氏を支持しない構え。スウィンソン党首はコービン氏について、たとえ期限付きでも首相の重責を担える人物ではないと指摘し、自身を首班とする暫定政権の構想は「ばかげている」と一蹴した。