EU財政規律の適用を一時的に停止、欧州委が提案

欧州委員会は20日、欧州連合(EU)加盟国の財政赤字を厳しく制限する財政規律の適用を一時的に停止することを加盟国に提案したと発表した。「一般免責条項」を発動し、各国が新型コロナウイルス対策に無制限で財政出動できるようにする。

EUの財政規律を定めた安定成長協定は、各国に毎年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることなどを義務付け、違反した場合は是正を求め、制裁を科すこともある。ただ、例外的な状況では一般免責条項を適用し、赤字が上限を超えることを認めている。欧州委は新型コロナウイルスの感染拡大が各国の経済、社会に大きな影響を与えている事態が同条項に該当すると判断した。

同条項は欧州がギリシャを震源地とする債務危機に見舞われた2011年に創設された。実際に発動されるのは初めて。加盟国は26日に開く緊急首脳会議で欧州委の提案を承認する見通しだ。

すでに欧州委は財政規律の弾力的な運用を打ち出していたが、今回の決定で財政ルール自体が一時的に停止され、各国は医療体制の拡充など新型コロナウイルス感染封じ込め対策に必要な財政措置を自由に講じることができるようになる。

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