2010/1/4

総合 –EUウオッチャー

ロシアとウクライナ、欧州向け原油輸送の通過料引き上げで合意

この記事の要約

ロシアとウクライナは12月28日、欧州向け原油輸送に関する合意文書に署名した。両国の間ではロシアがウクライナに支払う原油通過料をめぐって調整がつかず、一時はウクライナ経由でロシア産原油を輸入している東欧諸国に影響が及ぶと […]

ロシアとウクライナは12月28日、欧州向け原油輸送に関する合意文書に署名した。両国の間ではロシアがウクライナに支払う原油通過料をめぐって調整がつかず、一時はウクライナ経由でロシア産原油を輸入している東欧諸国に影響が及ぶとの懸念が広がったが、2010年度の契約が締結されたことで欧州向けの原油供給が停止される事態は回避された。

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ウクライナの国営エネルギー企業ナフトガスによると、ロシア側はウクライナに支払うパイプライン通過料を30%引き上げることで合意した。具体的な金額は公表されていないが、ロイター通信がウクライナ当局者の話として報じたところによると、原油1トン当たりの通過料は6.6ユーロ(9.5ドル)に設定されるもよう。09年の通過料は1トン当たり7.8ドルだった。また、両国は10年の原油輸送量を1,500万トンとすることで合意した。なお、ウクライナ側の要求に沿って、支払い通貨をドルからユーロに変更することも契約条件に盛り込まれている。

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欧州委員会のピエバルグス委員(エネルギー政策担当)は29日、声明で「ロシア政府からウクライナ経由の欧州向け原油供給に支障が出る危険は回避されたとの報告を受けた」と述べ、両国の合意を歓迎。経由国とのトラブルなどでロシアから欧州へのエネルギー供給に支障が出る可能性が生じた場合、事前に通報することを義務付けた「早期警報メカニズム」に基づいて、ロシア側からウクライナとの協議の進捗状況について情報提供を受けていたことを明らかにし、同システムが「有用な情報伝達の手段であることが実証された」とコメントした。

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一方、ロシアのプーチン首相は28日、ウラジオストクで記者団に対し、「エネルギー輸送をめぐるトラブルの原因は、ウクライナをはじめとする経由国による地位の乱用にある」と発言。そのうえで、交渉期限が切れる1月1日までにウクライナとの間で新たな契約を結べなかった場合でも欧州向けの原油供給を維持する意向を示していた。

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