2010/1/4

産業・貿易

中国靴への反ダンピング税延長決定、中国は報復措置発動

この記事の要約

EU加盟国は12月22日の閣僚理事会で、中国・ベトナム製の革靴に適用している反ダンピング措置の継続を決めた。12月末となっていた適用期限を15カ月延長する。これに反発する中国は、EU製留め具への反ダンピング措置発動を打ち […]

EU加盟国は12月22日の閣僚理事会で、中国・ベトナム製の革靴に適用している反ダンピング措置の継続を決めた。12月末となっていた適用期限を15カ月延長する。これに反発する中国は、EU製留め具への反ダンピング措置発動を打ち出しており、双方の通商紛争が過熱してきた。

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EUは中国とベトナムの革靴メーカーが政府の支援を後ろ盾に製品を不当な安値で輸出し、域内のメーカーに打撃を与えているとして、2006年10月から中国製に16.5%、ベトナム製に10%の反ダンピング税を課している。これにより両国製の革靴の域内におけるシェアは2005年の35.5%から28.7%(08年6月時点)まで下がったが、EUは現時点で同措置を解除するとダンピングが加速し、域内メーカーの競争力強化に向けた取り組みがとん挫するとして、延長を決めた。

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今回の決定をめぐっては、欧州の小売業団体が消費者に負担を強いるとして反発したほか、加盟国の中にも反対論が多く、11月の反ダンピング委員会では欧州委員会の継続提案に対して過半数の国が拒否した。最終的にドイツ、オーストリア、マルタが賛成に回って形勢は逆転したが、反対が根強いことを考慮し、最長で5年が認められる延長期間を15カ月にとどめた。

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EUの反ダンピング措置を保護主義と批判していた中国政府は、今回の決定に反発し、世界貿易機関(WTO)に提訴する意向を表明。さらに同商務省は23日、EUが輸出するボルトなど炭素鋼製留め具に28日付で最高24.6%の反ダンピング税を課すと発表した。

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EUは中国製の留め具に反ダンピング措置を発動して下り、これを不服とする中国はWTOに提訴済み。中国側の今回の措置は同問題も絡むが、革靴へのダンピング措置延長に対する事実上の報復と受け止められている。

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