2010/1/4

産業・貿易

シンガポールとFTA交渉開始で合意、ASEAN全体から個別協定に方針転換

この記事の要約

EUとシンガポールは12月22日、自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を開始することで合意した。EUは2007年に東南アジア諸国連合(ASEAN)とFTA交渉を始めたものの、協定の範ちゅうをめぐる意見の隔たりなどから進 […]

EUとシンガポールは12月22日、自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を開始することで合意した。EUは2007年に東南アジア諸国連合(ASEAN)とFTA交渉を始めたものの、協定の範ちゅうをめぐる意見の隔たりなどから進展がなく、昨年3月に交渉を中断していた。このためEUはASEANの中でもEUとの貿易額が最も大きいシンガポールとの個別交渉に方針転換する。

\

交渉は今年初めに開始される見通し。欧州委員会のフェレロ=ヴァルトナー委員(対外関係担当)は、「地域の枠組みでの協定締結という最終目的を見失ったわけではない」としながらも、ASEANの個別の国と交渉を進めることで同地域との関係を強化する考えを示した。一方、シンガポールのリム・フンキアン通商産業相は、「EUがシンガポールとの個別交渉の開始を決めたことは前向きな進展であり、EUとASEANの緊密な関係の土台を築く重要な協定になる」と説明している。

\

EUにとってASEANは米国と中国に次ぐ3番目の貿易相手で、2008年の貿易額は2004年に比べて25%以上増の1,750億ユーロに達した。なかでもシンガポールはASEAN10カ国との貿易の中で全体の約3分の1を占める。EUにとってシンガポールは相手国として貿易額で15番目、シンガポールにとってEUは貿易額の11.6%を占める最大の貿易相手で、双方の貿易額は2009年1~11月で総額560億ドルに上る。

\

なおシンガポールはすでに米国、日本、オーストラリアともFTAを締結している。

\