2010/1/4

競争法

新車販売への競争法適用除外、欧州委が13年廃止を提案

この記事の要約

欧州委員会は12月21日、自動車販売およびアフターサービス市場における競争法の一括適用除外を規定したEU規則の改正案を発表した。新車販売についてはすでに十分な競争環境が確保されているとして、現行規則が失効する2010年5 […]

欧州委員会は12月21日、自動車販売およびアフターサービス市場における競争法の一括適用除外を規定したEU規則の改正案を発表した。新車販売についてはすでに十分な競争環境が確保されているとして、現行規則が失効する2010年5月から3年以内に一括適用除外を廃止することを提案している。一方、修理や保守・点検などのアフターサービスに関しては、依然として独立系の修理業者などが競争で不利な立場に置かれているとして、条件を厳格化したうえで適用除外の規定を維持する方針。欧州委は2月10日まで意見募集を行い、各方面から寄せられた意見を踏まえて最終案をまとめる。

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EUは02年7月、自動車メーカーが独自のディーラー網を通じて新車販売市場を支配している状況を改善するため、メーカーがディーラーに対して取扱い車種や営業地域などを制限するシステムの撤廃を柱とする規則を採択。乗用車と軽商用車を対象に、03年10月から競合ブランドの販売禁止を不可とするルールなどを盛り込んだ新規則が適用された。05年10月にはメーカーが最後まで反発していた地理的制限条項(ロケーションクローズ)も廃止され、ディーラーは域内の他の国に販売拠点を開設したり、国外で宣伝活動を行うことができるようになった。ただし、メーカーが営業所の設備や販売員に対する訓練などについて一定の基準を設け、条件を満たしたディーラーとのみ取引することを認めた競争法の適用除外(選択的販売制度)は維持されている。

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一方、02年の改正ではディーラーに対して販売とアフターサービスの提供を義務付けたルールが廃止され、独立系の修理業者がディーラーから修理や保守・点検業務を請け負えるようになった。ただし、ここでもメーカーは修理施設の設備や従業員に対する専門的訓練などについて基準を設け、条件を満たした認定業者にのみ技術情報やスペア部品を提供することを認めた競争法の適用除外が維持されている。

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欧州委はまず新車販売市場について、現行ルールの下ですでに独立販売業者が参入しやすい環境が整い、消費者にとって選択肢が増えて価格競争も激しくなっていると分析。現行規則の失効から3年の移行期間を経て、13年5月末までに一括適用除外を廃止し、通常の競争ルールを適用する方針を示している。

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一方、アフターサービス市場に関しては、独立修理業者がメーカーから認定書の発行を拒否されたり、技術情報にアクセスできないといったケースが見受けられると指摘。来年5月以降も一括適用除外の規定を維持し、市場シェアが30%未満の業者に限って現行ルールを適用することを提案している。そのうえで、独立修理業者がメーカーからスペア部品の供給を受けられるようにするとともに、独立系の部品メーカーが競争で不利にならないよう、補修部品の供給に関する新たなルールを導入する方針を示している。

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