2010/1/11

総合 –EUウオッチャー

EU大統領が2月に特別首脳会議招集、新成長戦略を協議

この記事の要約

EUのファンロンパイ大統領(欧州理事会常任議長)は4日、経済問題について討議する特別首脳会議を2月11日にブリュッセルで開催すると発表した。3月下旬に開かれる定期首脳会議に先立ち、EUの向こう10年の成長戦略などを協議す […]

EUのファンロンパイ大統領(欧州理事会常任議長)は4日、経済問題について討議する特別首脳会議を2月11日にブリュッセルで開催すると発表した。3月下旬に開かれる定期首脳会議に先立ち、EUの向こう10年の成長戦略などを協議する。ファンロンパイ大統領はリーダーシップを発揮し、就任後初の大仕事を成功に導きたいところだ。

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ファンロンパイ大統領は就任に先立ち、地球温暖化対策やテロ対策などとともに、景気回復を大きな課題に挙げていた。大統領はEU議長国スペインのザパテロ首相、欧州委員会のバローゾ委員長と協力しながら、臨時首脳会議を取り仕切る。

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今回の会議で大きな焦点となるのが、「リスボン戦略」に代わる新たな成長戦略。2000年に採択されたリスボン戦略は、EUを2010年までに世界で最も競争力のある経済圏に成長させることを目指し、同年までに域内総生産(GDP)に対する研究開発(R&D)投資の比率を3%に拡大することや、雇用率を70%以上に引き上げることなどを目標に掲げていたが、金融・経済危機の影響もあって失敗に終わった。たとえば、期限の昨年末までにR&D投資の目標を達成したのはフィンランド、スウェーデンの2カ国だけだった。

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2020年を期限とする新たな成長戦略では、地球温暖化対策を主とした環境技術、R&D投資の拡大などが柱となる。EUは3月25、26日に開く定期首脳会議で同戦略を固めるが、ファンロンパイ大統領は特別首脳会議を地ならしの場とし、同問題を集中討議したい考え。同大統領は「我々の社会モデルの基礎を支え、欧州の生活様式を維持するため、さらなる経済成長が必要だ」と語った。

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一方、EU経済は景気後退局面を脱したが、なお個人消費や雇用は悪化しており、本格的な回復には至っていない。特別首脳会議では足元の問題として、景気回復を軌道に乗せるための対策や雇用問題などについても協議するとみられる。

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