2010/1/11

競争法

デンマーク製薬大手が競争法違反か、欧州委が本格調査に

この記事の要約

欧州委員会は7日、デンマークの大手製薬会社ルンドベックが自社製品のジェネリック薬(後発医薬品)が市場に出回るのを妨害した疑いがあるとして、同社に対する本格調査に着手したと発表した。欧州委はルンドベックが主力製品の独占的販 […]

欧州委員会は7日、デンマークの大手製薬会社ルンドベックが自社製品のジェネリック薬(後発医薬品)が市場に出回るのを妨害した疑いがあるとして、同社に対する本格調査に着手したと発表した。欧州委はルンドベックが主力製品の独占的販売期間が終了した後も自社の利益を確保するため、ジェネリック薬メーカーと協定を結ぶなどして競争を阻害したとの疑いを強めている。欧州委は2008年1月からジェネリック医薬品をめぐる大手製薬会社の商慣行について調査を進めており、ルンドベックは昨年12月に立ち入り調査を受けていた。

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問題になっているのはルンドベックが開発した抗うつ剤「シタロプラム」。欧州では「シプラミル」、米国やカナダでは「セレクサ」の名称で販売されている。ルンドベックは声明を発表し、欧州委の調査に全面的に協力するとしたうえで、同社の商慣行がEUルールに準拠していることが証明されると強調している。ルンドベックはシタロプラムの売上高や提携先の米フォレスト・ラボラトリーズとのライセンス契約の内容などについて詳細を公表していないが、広報担当者は「シタロプラムは当社にとって重要な製品ではない」とコメントした。同社はシタロプラムの後継医薬品「エスシタロプラム」の特許を取得している。

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欧州委は大手製薬会社が結託して低価格で販売されるジェネリック薬の投入を遅らせているとの疑いを持っている。これまでの調査から、1つの医薬品に対して域内各国で多数の特許を取得する「特許集積(パテントプール)」と呼ばれる手法を使ったり、特許侵害訴訟を起こして和解に持ち込み、ジェネリック薬メーカーに金銭を支払う代わりに販売方法や地域などに制限を加えるなどの方法がとられていることが判明。こうした商慣行はEU競争法が禁止する市場支配的地位の乱用や競争制限的行為にあたるとの見方を強めている。

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