2010/1/18

総合 –EUウオッチャー

ギリシャの財政統計「信用できず」、EUが制裁手続き開始か

この記事の要約

欧州委員会は12日、ギリシャの財政統計は政治介入により赤字を過少申告しており、「信用できない」とする報告書を公表した。ギリシャは過去にも財政報告を粉飾した“前科”があり、EUが制裁手続きに着手するとの見方が出てきた。\ […]

欧州委員会は12日、ギリシャの財政統計は政治介入により赤字を過少申告しており、「信用できない」とする報告書を公表した。ギリシャは過去にも財政報告を粉飾した“前科”があり、EUが制裁手続きに着手するとの見方が出てきた。

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ギリシャは当初、2009年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3.7%と報告していた。ところが、昨年10月の政権交代に伴い、前政権時の統計処理に問題があったことが発覚。財政赤字はGDP比12.7%に修正され、EUの財政規律で上限となっているGDP比3%を大幅に超過した。さらに、08年の赤字についても、GDP比5%から7.7%に修正された。これを受けてEUは、欧州委に同国の統計処理の問題点を調べるよう指示していた。

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欧州委は報告書で、「このような大幅な修正は、他のEU加盟国では極めて稀だが、ギリシャでは何度も起きている」と批判。その背景として、ギリシャの統計局は独立性に欠け、政府の介入により赤字を実際より小さくみせる粉飾行為があったと指摘した。その上で、08、09年の統計は新政権による修正後も社会保障費や公共調達など多くの分野で「解決できない問題」があり、さらに赤字が膨らむ可能性もあるとしている。

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ギリシャでは2004年、同じく政権交代に際して、EUへの報告に反して1997年から財政規律に違反していたことが発覚。同国は2001年にユーロを導入したものの、実際には導入基準を満たしていなかったことが分かり、大きな波紋を広げた。その後も数度にわたり、EU統計局からデータの信憑性を問題視されたことがある。

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欧州委はこうした事態を強く問題視しており、EU筋はロイター通信に対して「制裁手続きに入るだろう」と語った。

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一方、ギリシャ政府は14日、EUの求めに応じてまとめた財政再建計画を発表した。防衛、医療費の削減や公務員の新規採用凍結、脱税対策強化などにより赤字を削減し、2012年末までに財政赤字をEU財政規律の枠内であるGDP比2.8%まで縮小させる。規律違反の解消は、昨年末に打ち出した2013年末より1年前倒しとなる。同計画は2月に開かれるEU財務相理事会での承認が必要となる。

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