2010/1/18

産業・貿易

イヌイットがEUを提訴、アザラシ製品の禁輸めぐり

この記事の要約

カナダとグリーンランドの先住民族イヌイットの団体が13日、EUが導入を決めたアザラシ製品の輸入を禁止するルールを不当として、欧州司法裁判所の一般裁判所に提訴した。同措置がアザラシ猟は残酷という偏見に基づくものとして強く反 […]

カナダとグリーンランドの先住民族イヌイットの団体が13日、EUが導入を決めたアザラシ製品の輸入を禁止するルールを不当として、欧州司法裁判所の一般裁判所に提訴した。同措置がアザラシ猟は残酷という偏見に基づくものとして強く反発し、輸入禁止の無効化を求めている。

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EUは昨年7月、撲殺など残虐な手法が用いられるアザラシ猟に対する国際的な批判が強まっていることを受け、アザラシの皮、肉、油脂などや、それらを用いた製品のEUへの輸入を禁止する法案を採択。今春に発効となる。

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新ルールでは、イヌイットが自給のため伝統的な方法で行うアザラシ猟による製品は禁止の対象外としている。しかし、イヌイット側は例外規定の基準が明確でないと指摘。さらに、イヌイットの文化であるアザラシ猟に残酷というレッテルを貼ったEUを「文化的偏見がある」と強く批判し、禁止法案の無効化を求めて提訴に踏み切った。

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同法案をめぐっては、カナダとノルウェーの政府が昨年11月、アザラシ製品の輸入禁止は貿易ルールに反する不当な措置として、世界貿易機関(WTO)に提訴している。

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