2010/1/18

環境・通信・その他

「温暖化対策で加盟国は結束を」、欧州委候補が排ガス規制強化を示唆

この記事の要約

欧州委員会で新設の気候変動担当委員に就任予定のコニー・ヘデゴー氏(デンマーク前気候変動・エネルギー相)は15日、欧州議会の承認公聴会で証言し、地球温暖化対策をめぐる議論でEUが主導権を確保するため、加盟国が一体となって強 […]

欧州委員会で新設の気候変動担当委員に就任予定のコニー・ヘデゴー氏(デンマーク前気候変動・エネルギー相)は15日、欧州議会の承認公聴会で証言し、地球温暖化対策をめぐる議論でEUが主導権を確保するため、加盟国が一体となって強力な政策を推し進める必要があるとの考えを表明した。2020年を達成期限とする温室効果ガス削減目標に関しては、米国をはじめとする他の先進国がEUと同等の目標を打ち出すことが前提としたうえで、「できるだけ早い段階で1990年比20%から30%に引き上げたい」と発言。そのための具体策として自動車など輸送部門に対する規制強化を示唆した。

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ヘデゴー氏は昨年末の気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で途中まで議長を務めた。同氏は最大の目標だったポスト京都議定書の枠組み構築について合意できず、成果の乏しい会議となったことに「失望した」と発言。会期中はEU内部で意見調整が難航し、結果的に途上国などとの議論で主導権を握ることができなかったと指摘。「EUが今後の交渉で強い発言権を得るため、現状を改善する必要がある」と強調した。

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ヘデゴー氏はまた、温暖化対策が経済の妨げになるとの考えは誤りで、長期的にみれば環境対応技術が成長を促し、雇用創出につながると発言。米国、中国、日本、ブラジル、韓国などはいずれも温暖化防止の取り組みを強化しており、環境分野でのEUの優位性が脅かされていると警告した。そのうえで同氏は、一部の業界団体などが規制強化に反対してしばしば活発なロビー活動を展開しているが、「いざ規制に踏み切ると実際には予想よりはるかに早い段階で目標が達成され、さらに野心的な試みが行われるケースがある」と指摘。業界団体の強い反発で乗用車の二酸化炭素(CO2)排出規制を当初の構想より緩やかな内容に修正した例に触れ、「90年比30%削減」という中期目標の達成に向け、自動車を中心とする輸送分野などが新たな規制の対象になり得るとの考えを示した。

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