2010/1/18

環境・通信・その他

輸入品への炭素税導入は「通商紛争」の火種=環境担当欧州委員候補

この記事の要約

欧州委員会の次期通商政策担当委員の候補であるカレル・デフフト氏(現開発・人道援助担当委員、元ベルギー外相)は12日、温室効果ガス削減の取り組みが不十分な国からEU域内への輸入品に「炭素税」を課す構想に反対の立場を表明した […]

欧州委員会の次期通商政策担当委員の候補であるカレル・デフフト氏(現開発・人道援助担当委員、元ベルギー外相)は12日、温室効果ガス削減の取り組みが不十分な国からEU域内への輸入品に「炭素税」を課す構想に反対の立場を表明した。同氏はブリュッセルで開かれた欧州議会での承認公聴会で、域外からの輸入品に炭素税を課せば「通商紛争につながる」と警告。市場ルールに基づいて他のアプローチを模索すべきだとの考えを示した。

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EUでは昨年末の気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で拘束力のある合意が得られなかったことを受け、EUと同等の温室効果ガス排出規制を導入していない国からの輸入品を対象に、二酸化炭素(CO2)排出量に応じて炭素税を課税する「国境税調整」の導入を求める声が高まりつつある。これはEUの排出量取引制度の下で厳しい排出削減義務を課されている域内企業はすでに多大なコスト負担を強いられており、規制が緩やかな米国、中国、インドなどの企業との競争で不利に立たされているとの認識に基づくもので、フランスなどが導入を提唱している。

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デフフト氏はこうした動きに対し、「国境税調整を導入すればさまざまな問題が生じ、世界的規模で通商摩擦が加熱する可能性がある」と指摘。気候変動や地球環境に配慮しながら「市場ルールに沿った強力な政策を推進する必要がある」と強調した。

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同氏はこのほか最優先課題として世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)を挙げ、早期妥結に向けて交渉を加速させたい考えを示した。さらに中国との関係強化に向けて対話を深める必要があると指摘。国内産業の保護を目的とした中国政府の為替政策など「困難な問題」に積極的に取り組む姿勢を強調した。

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