2010/1/18

環境・通信・その他

グーグルの中国撤退、欧州委員が支持

この記事の要約

インターネット検索サービス最大手の米グーグルが中国政府による検閲などを理由に同国市場からの撤退の可能性を示唆した問題で、欧州委のクルース委員(競争政策担当)は14日、中国当局のインターネット関連政策に対する懸念を表明した […]

インターネット検索サービス最大手の米グーグルが中国政府による検閲などを理由に同国市場からの撤退の可能性を示唆した問題で、欧州委のクルース委員(競争政策担当)は14日、中国当局のインターネット関連政策に対する懸念を表明した。開かれたネットワークの重要性を強調するとともに、グーグルの行動を支持する考えを示している。

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クルース委員は欧州委のデジタル担当委員への就任に向けた欧州議会の資格審査で、「グーグルの主張が正当なものであれば、中国のみならず世界各国にとって大きな懸念事項だ」とコメント。欧州委にとっても「開かれた中立なネット市場を維持するうえで重要な問題」と指摘し、グーグルの対応に理解を示した。さらに、インターネットの利用促進を図るためには、技術関連企業がプライバシーに関する問題を深刻に受け止める必要があると述べた。

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グーグルは12日、昨年12月中旬に中国を発信源とした極めて高度なサイバー攻撃を受けていたことを公表。攻撃は主に、中国の人権活動家のGメール(グーグルの無料電子メールサービス)アカウントへのアクセスを狙ったものだったと明らかにした。また、同様の攻撃はグーグル以外にもネット、金融、メディアなど34社に対して仕掛けられており、なかには知的財産が盗まれるケースもあったという。

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こうした事態を「言論の自由という世界的な問題にかかわる」として重視した同社は、中国当局の指示でこれまで実施してきた自己検閲の中止を決定。3億6,000万人のインターネットユーザーを擁する世界最大市場での事業継続について、再検討する方針を示した。ただし、一連のサイバー攻撃に対する当局の直接関与には言及してはおらず、撤退は今後の当局との交渉次第としている。一方、中国政府は自国のネット市場は「開かれたもの」だと強調。グーグルが撤退を検討する事態を招いた原因が検閲であるとの見方を否定している。

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