2010/2/1

競争法

BHPとリオの鉄鉱石事業統合、欧州委が本格調査開始

この記事の要約

欧州委員会は1月25日、英豪資源大手BHPビリトンと同業リオ・ティントが豪州西部の鉄鉱石事業を統合する計画について、本格調査に着手したと発表した。市場の寡占を招いて競争を阻害する恐れがあるためで、とくに海上輸送による鉄鉱 […]

欧州委員会は1月25日、英豪資源大手BHPビリトンと同業リオ・ティントが豪州西部の鉄鉱石事業を統合する計画について、本格調査に着手したと発表した。市場の寡占を招いて競争を阻害する恐れがあるためで、とくに海上輸送による鉄鉱石の世界での価格や供給に対する影響を問題視している。調査には期限を設けていないが、優先事項として取り組むという。

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BHPビリトンとリオ・ティントは昨年12月、折半出資で合弁会社を設立し、それぞれの鉄鋼事業を新会社に移管することで正式契約を結んだ。両社にとっては100億ドル以上のコスト削減になる。BHPビリトンは2008年にリオ・ティントに対して買収案を提示したが、リオ・ティントが拒絶したうえ、欧州委が競争上の観点から難色を示したことから買収を断念した経緯がある。

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両社の事業統合に対しては、鉄鋼世界最大手のアルセロールミタル(ルクセンブルク)や独ティッセンクルップなどが加盟する欧州鉄鋼連盟(EUROFER)が、鉄鉱石ではブラジルの世界最大手ヴァーレ・ド・リオ・ドーセを含めた3社ですでに寡占状態にあり競争を大きく阻害するとして反発。日本や中国の鉄鋼メーカー、世界鉄鋼協会も反対を表明している。

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しかし両社は、今回の取引は生産事業だけの統合であり販売は従来通り分離されていることを強調。リオ・ティントは、「市場に迅速かつ低コストで供給できるようになる」として、価格は引き続き市場で決まり合弁事業が価格に影響を与えないと説明し、欧州委に対しても合弁事業の利点を説得して予定通り年内に取引を完了する考えを示している。

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