2010/2/15

環境・通信・その他

域内水質調査、硝酸塩濃度は低減傾向に

この記事の要約

欧州委員会は11日、EU硝酸塩指令に基づき4年に1度作成される域内の水質調査報告書を公表した。2004~2007年を対象期間とした報告書によると、主に農業排水に含まれる肥料分の硝酸塩の濃度は地表水(河川、湖沼、運河など) […]

欧州委員会は11日、EU硝酸塩指令に基づき4年に1度作成される域内の水質調査報告書を公表した。2004~2007年を対象期間とした報告書によると、主に農業排水に含まれる肥料分の硝酸塩の濃度は地表水(河川、湖沼、運河など)、地下水の双方で低下しており、全体としてはこれまでに実施してきた対策が奏功していることが確認された。ただし、一部地域には依然として水質基準を上回る硝酸塩が残留しており、域内の農家に対しては、引き続き持続可能な改善策を実施、または新たに導入することが求められている。

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報告書によると、域内に3万1,000カ所ある地下水の監視点のうち、70%で硝酸塩濃度が前回調査と比べて低下または同水準だった。27,000カ所ある地表水の監視点でも66%が同様の結果になった。しかし、以下の地域にある監視点では高濃度の硝酸塩が計測されている。◇地下水――エストニア、オランダ南東部、ベルギー(フランダース地方)、イギリス(イングランド)、フランス(複数の地点)、イタリア北部、スペイン北東部、スロバキア南東部、ルーマニア南部、マルタ、キプロス、◇地表水――マルタ、イギリス(イングランド)、ベルギー(フランダース地方)、フランス(ブルターニュ地方)。

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有機肥料および化学肥料のいずれにも使用される硝酸塩は、水質汚染の大きな原因のひとつ。植物や農作物の成長促進に欠かせない成分である一方、高濃度の残留は人体にも自然環境にも有害だ。EU域内では現在、問題改善に向けた対策として約300のプログラムが実施されている。報告書によると、農家の間では革新的な肥料の使用方法や堆肥の加工方法に対する関心が高まっており、共同プロジェクトに参加する農家が増加。とくにベルギー、オランダ、スペインでは大幅な増加がみられるという。

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