2010/3/1

産業・貿易

石油ガス輸入600億ユーロ削減へ、欧州委が長期戦略で試算

この記事の要約

EUは長期的にエネルギーの安定供給を確保するため、化石燃料の輸入依存度を低減させることをエネルギー政策の柱の1つと位置づけているが、欧州委員会は一連の政策により、2020年までに石油や天然ガスの輸入代金をおよそ600億ユ […]

EUは長期的にエネルギーの安定供給を確保するため、化石燃料の輸入依存度を低減させることをエネルギー政策の柱の1つと位置づけているが、欧州委員会は一連の政策により、2020年までに石油や天然ガスの輸入代金をおよそ600億ユーロ削減できると試算しているもようだ。ロイター通信が23日、EUの内部資料を基に報じた。

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欧州委は現在、経済・雇用・エネルギーなど主要分野について今後10年間の戦略をまとめた「2020年の欧州」と題する政策文書の策定を進めている。ロイターが入手した草案はまず、「EUは成長とエネルギー利用を切り離して資源効率の高い経済システムを構築し、競争力を高めると同時にエネルギー資源や一次産品の輸入依存から脱却する必要がある」と強調している。そのうえで20年までにエネルギー効率を20%改善し、同時にエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率を20%まで引き上げるというEUの目標に触れ、これらの目標が達成された場合「20年までに石油・ガスの輸入代金は600億ユーロ削減される」と試算。「コスト面だけでなく、エネルギー分野で独立性を確保するうえで輸入依存からの脱却が極めて重要」と指摘している。

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草案はさらに、温暖化防止に向け、引き続きEUが率先して温室効果ガス削減に取り組む姿勢を改めて強調。低炭素技術に関連した市場規模は今後20年間でおよそ3倍に拡大すると予測したうえで、「これまでEUは環境分野で世界をリードしてきたが、近年は中国や北米など他の地域が取り組みを加速させており、EUの優位性が揺らいでいる」と警告している。

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政策文書の最終版は3月3日に公表される見通しだ。

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