2010/3/8

産業・貿易

EUがアジア諸国とのFTA加速、ベトナムとも交渉開始で合意

この記事の要約

EUがアジア諸国との自由貿易協定(FTA)締結に向けた動きを加速している。欧州委員会のデフフト委員(通商担当)はベトナムとシンガポールを歴訪し、2日にベトナムとFTA交渉を開始することで合意。3日にはシンガポールと早期妥 […]

EUがアジア諸国との自由貿易協定(FTA)締結に向けた動きを加速している。欧州委員会のデフフト委員(通商担当)はベトナムとシンガポールを歴訪し、2日にベトナムとFTA交渉を開始することで合意。3日にはシンガポールと早期妥結を目指して第1回目の交渉を今月8~12日にシンガポールで開くと発表した。

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ベトナムとの交渉開始については、デフフト委員と同国のグエン・タン・ズン首相との会談後に明らかにされた。欧州委とベトナム政府は今後、正式な交渉開始や協議の枠組みに関する合意に向けて作業を進める。デフフト委員は3日にはシンガポールのリム・フンキャン通産相と会い、シンガポールとのFTAについて「欧州にとって、EUと東南アジア諸国連合(ASEAN)との結びつきで重要な足がかりになる」と語った。

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EUは2007年にASEANとFTA交渉を始めたものの、協定の範ちゅうをめぐる意見の隔たりなどから進展がないため昨年3月に交渉を中断し、ASEAN各国との個別交渉に方針を転換していた。デフフト委員も個別交渉に切り替えた理由として、ASEAN各国の経済発展に大きな格差があることを挙げている。ASEANに加盟するミャンマーの軍事政権の人権侵害をめぐる意見の食い違いもあるとされる。

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EUとシンガポールの貿易額は2008年に合わせて550億ユーロを超えている。EUにとってシンガポールは15番目の貿易相手国でASEASN内では最大。シンガポールにとってEUは貿易額と投資額で最大の相手国だ。一方、EUとベトナムの貿易額は2004~2008年に年平均12%伸びて2008年には120億ユーロとなり、EUにとってASEAN内で5番目の規模となっている。

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