2010/3/8

産業・貿易

欧州委が男女賃金格差是正に着手、違反企業への罰則強化など検討

この記事の要約

欧州委員会は5日、今後5年間にあらゆる政策手段を動員して域内における男女間の賃金格差の是正に取り組む方針を表明した。域内の労使団体などと連携して、対等な職種に対する男女同一賃金の原則に違反した企業に対する罰則の強化などに […]

欧州委員会は5日、今後5年間にあらゆる政策手段を動員して域内における男女間の賃金格差の是正に取り組む方針を表明した。域内の労使団体などと連携して、対等な職種に対する男女同一賃金の原則に違反した企業に対する罰則の強化などについて検討を進め、今年後半に打ち出す男女平等社会の実現のための今後5年間の戦略をまとめた政策文書に具体策を盛り込む。

\

EU統計局ユーロスタットによると、女性の賃金(時給ベース)は男性に比べてEU全体で平均18%低く、エストニアでは格差が30.3%に上る。主要国ではイタリアで4.9%と域内で男女格差が最も小さく、スペインが17.1%とEU平均をやや下回っているほかは、フランス(19.2%)、英国(21.4%)、ドイツ(23.2%)など軒並み平均を上回っている。一方、欧州委が昨年実施した男女平等をテーマとするEU市民の意識調査「ユーロバロメーター」によると、男女間の賃金格差を早急に是正する必要があると答えた人が全体の82%を占め、多くの市民が女性に対する暴力と並んで賃金格差を最も深刻な問題と受け止めていることが分かった。

\

欧州委は男女間の賃金格差を解消するための対策として、同一賃金ルールに違反した企業に対する罰則の強化、賃金格差に関する情報開示の義務化、給与体系や昇進機会などに関する男女平等原則の徹底などを挙げ、各方面と連携して具体的なルール作りを進める方針を示している。

\

欧州委のレディング副委員長(司法・基本的権利・市民権担当)は「EU諸国では過去15年間に男女間の賃金格差がわずかしか縮まっておらず、一部の国ではむしろ格差が拡大している。厳しい経済環境が続く中でこうした現状を容認することはできず、あらゆる手段を講じて格差是正に努める必要がある」と強調。加盟国や労使団体と協力して自身の任期終了までに大幅な格差是正を実現したい考えを示した。

\