2010/3/8

産業・貿易

GM作物4品種を新たに認可、BASFのジャガイモなど

この記事の要約

欧州委は2日、独化学大手BASFが開発した遺伝子組み換え(GM)ジャガイモ「アムフローラ」の産業利用向けの栽培と、米モンサントが開発した害虫耐性GMトウモロコシ「MON810」系統のハイブリッド種3品種の輸入・販売および […]

欧州委は2日、独化学大手BASFが開発した遺伝子組み換え(GM)ジャガイモ「アムフローラ」の産業利用向けの栽培と、米モンサントが開発した害虫耐性GMトウモロコシ「MON810」系統のハイブリッド種3品種の輸入・販売および加工を許可すると発表した。欧州食品安全庁(EFSA)はすでに、これら4品種に関する安全性を確認している。アムフローラの認可により、域内では12年ぶりに新たなGM作物の栽培が認められることになる。

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アムフローラは紙や繊維製品の生産に使用される工業用スターチ(でんぷん)と家畜飼料の原料として栽培が認められる。BASFはチェコとスウェーデン、ドイツで栽培を行い、作付面積は250ヘクタールを予定している。

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アムフローラをめぐっては、抗生物質への耐性を持つため従来種への汚染の危険性があると指摘されており、環境保護団体や一部の政党などからは、人間や動物の健康と環境に対するリスク、消費者の懸念を無視した決定だとの批判の声が上がっている。しかし、欧州委のジョン・ダッリ委員(保健・消費者政策担当)によると、アムフローラは開発者であるBASFが指定する生産農家のみが「管理された環境のなかで栽培」しており、種など遺伝子が収穫後も耕作地に残り、意図せず環境中に拡散することがないよう栽培には厳しい基準が設けられるという。

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同時に認可されたGMトウモロコシは、現在EU域内で唯一、1998年から栽培が認められている「MON810」系統のハイブリッド種で、「MON 863x MON 810」、「MON 863x MON 810x NK603」、「MON 863xNK603」の3品種。いずれも食用および飼料用として、輸入と域内での加工が認められる。

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GM食品の認可については、予期しない健康と環境への危険性が懸念されるなど、加盟各国の間に意見の隔たりがある。「フランケンシュタイン食品」とも呼ばれ、長期にわたり論争の的となってきた。特に強い抵抗感を示しているのがオーストリア、イタリア、ハンガリー、ギリシャ、フランスだ。一方、アメリカ、カナダ、ブラジルなど他の農業大国はGM食品の生産に積極的で、域内の生産者らは、GM食品に対するこうした抵抗感がEUの農家の競争力を削ぐことになり、長期的には域内の食の安全を脅かすことになると警告している。ダリ委員は今後、欧州委員会のバローゾ委員長が昨年9月に示した「科学的根拠を最重要視して決定を下す」との方針に従い、EUのGM作物の認可制度と、各国のGM作物栽培に関する独自の決定権との整合性に関して、今夏をメドに政策案を示す予定だ。

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