2010/3/22

総合 –EUウオッチャー

ギリシャ支援の枠組みで合意、2国間で緊急融資へ=ユーロ圏

この記事の要約

ユーロ圏16カ国は15日にブリュッセルで開いた財務相会合で、財政危機に直面するギリシャに対する金融支援の枠組みで合意した。内容は不明だが、2国間ベースでの支援となるもよう。25、26日に開かれるEU首脳会議で詳細を決める […]

ユーロ圏16カ国は15日にブリュッセルで開いた財務相会合で、財政危機に直面するギリシャに対する金融支援の枠組みで合意した。内容は不明だが、2国間ベースでの支援となるもよう。25、26日に開かれるEU首脳会議で詳細を決める予定だ。

\

EUは2月中旬の首脳会議で、ギリシャの財政危機が深刻化すれば他のユーロ圏諸国が金融支援を実施することを表明したが、ギリシャの自助努力を促すため、支援の具体的な内容は固めていなかった。しかし、同国が200億ユーロを超える国債の償還期限を迎える4、5月を前に、資金調達ができず債務不履行(デフォルト)の危機に陥った場合に備えて具体化に踏み出した。

\

ユーロ圏財務相が会合後に発表した共同声明によると、16カ国はギリシャ支援の必要性が生じた場合に協調行動をとるための「技術的手順」で合意したが、支援額など詳細は明らかでない。ただ、議長を務めたルクセンブルクのユンケル首相兼財務相は、支援は「2国間」で行われるもので、債務保証は含まれていないことを明らかにした。このため、ユーロ圏のギリシャ以外の15カ国がすべて参加する2国間ベースでの緊急融資となるもようだ。また、声明は金融支援の金利について「ユーロ圏の平均金利」ではなく、「早く市場(での資金調達)に戻ることを促す」水準としており、過度な優遇を避けて高めに設定することを示唆している。

\

ギリシャは2009年に国内総生産(GDP)比12.7%まで膨らんだ財政赤字を2012年に同3%以下まで削減することを求められており、今年は8.7%まで絞る必要がある。政府は今月初めに追加財政再建策を発表し、目標達成へ懸命に取り組んでいる。ユーロ参加国への金融支援は、1999年のユーロ導入以来はじめてとなるが、ユンケル首相は記者会見で、ギリシャが現時点で支援を求めていないことを確認した上で、「支援が必要になるとは考えていない」と述べ、あくまでも不測の事態が生じた場合の安全網との認識を強調した。

\

一方、ギリシャは財政再建策を実行し、適度なコストで資金を調達できれば危機を乗り切ることが可能として、現時点でEUによる支援の実施を求めていない。しかし、信用不安を払しょくして国債をめぐる投機的な動きを抑え、資金調達を円滑に進めるためには、いざという時に備えた詳細な支援計画を早く固める必要があるという立場だ。パパンドレウ首相は18日、「ギリシャが求めているのは金ではなく、市場で資金を調達できないときに備えた金融支援の明確なメカニズムを用意することだ」と述べ、EUが25、26日の首脳会議で支援策確定を先送りしないようけん制。仮に首脳会議で支援策が決まらなければ、国際通貨基金(IMF)への支援要請も辞さない構えを示した。

\