2010/4/12

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏が対ギリシャ融資の条件で合意、最大300億ユーロを利率5%で

この記事の要約

ユーロ圏16カ国の財務相は11日開いた緊急電話会議で、財政危機に陥っているギリシャが支援を要請した場合に実施する緊急融資の条件について合意した。ユーロ圏各国が2010年に最大300億ユーロを年利約5%で融資(期間3年)す […]

ユーロ圏16カ国の財務相は11日開いた緊急電話会議で、財政危機に陥っているギリシャが支援を要請した場合に実施する緊急融資の条件について合意した。ユーロ圏各国が2010年に最大300億ユーロを年利約5%で融資(期間3年)する。

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ユーロ圏は3月25日の臨時首脳会議で、ギリシャが金融市場で資金調達できなくなったときの「最後の手段」として、各国と国際通貨基金(IMF)が協調融資することで合意した。ギリシャが巨額の国債の償還期限を迎える4、5月に金融市場で資金を調達できない場合を想定したものだが、利率など詳細は固まっていなかった。

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欧州委員会のレーン委員(経済通貨問題担当)によると、支援の3分の2をユーロ圏、3分の1をIMFが担う予定で、IMFはユーロ圏とは別に150億ユーロを負担する見込み。このため融資総額は最大450億ユーロに達する。

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ギリシャ政府は3月29日に7年物国債を発行して50億ユーロを調達した。ユーロ圏がギリシャ支援策を決定した直後の国債発行だが、表面利率は5.9%と、3月4日に50億ユーロの10年物国債を発行した際の6.3%より低いもののドイツ国債と比べて約2倍の水準に設定することを迫られ、大きな利払い負担を求められた。その後に国債の利回りは急上昇して年7%を超え、10年物国債のドイツ国債との利回り格差はユーロ導入後の最高水準まで拡大するという状況にあった。

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こうした高い資金調達コストは、4、5月に200億ユーロ以上の国債を発行するギリシャにとって大きな懸念材料。格付け会社フィッチ・レーティングスは9日、ギリシャの調達コスト上昇と景気悪化を受けて、同国の長期格付けを「BBBプラス」から2段階下げ、投資適格ぎりぎりの「BBBマイナス」にすると発表した。

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ユーロ圏は13日にギリシャが12日に実施する12億ユーロの国債発行が不調に終わる場合に備えて、緊急融資の条件を固めた。国債発行により市場から資金を調達する場合の現行利率を下回るが、財政規律に違反したギリシャに対するたんなる救済と受け取られるのを避けるため、高めの水準に設定した。IMFのカーン専務理事は融資に「加わる用意がある」との声明を発表した。

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