2010/4/12

産業・貿易

貿易黒字がユーロ圏経済不均衡の一因、欧州委が独に内需拡大要請

この記事の要約

欧州委員会は3月31日、ユーロ圏経済に関する四半期報告書を公表した。報告書はユーロ圏16カ国の間で競争力に格差が生じていると指摘。一部の国の貿易黒字がユーロ圏内における不均衡の一因になっているとの見解を示し、ドイツなどに […]

欧州委員会は3月31日、ユーロ圏経済に関する四半期報告書を公表した。報告書はユーロ圏16カ国の間で競争力に格差が生じていると指摘。一部の国の貿易黒字がユーロ圏内における不均衡の一因になっているとの見解を示し、ドイツなどに対して内需拡大を求めている。

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ドイツは2009年に1,350億ユーロの貿易黒字を計上したが、深刻な財政危機に陥っているギリシャをはじめ、スペインやフランスなどでは貿易収支の赤字が続いている。欧州委は報告書で、「ユーロ圏諸国における経常収支と競争力の格差は潜在的な懸念材料になっており、引き続き調整の必要がある」と強調。ギリシャのように競争力が低下した国は構造改革を断行して競争力の回復に努めなければならないとしたうえで、「輸出による利益は内需と輸入の拡大に転換されるべきだ」と指摘し、名指しは避けたもののドイツに対して内需刺激策の実施を求めた。

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報告書は一方、労働市場の脆弱性が消費を鈍らせているとの見方を示し、「EU経済の回復が本格的なものか、さらに見極める必要がある」と指摘。さらに「労働市場、製品・サービス市場、金融セクターの抱える問題」がユーロ圏における経常収支の格差拡大につながっているとの認識を示し、「経済危機を通じてユーロ圏諸国が着実に改革を実行し、域内で連携を強化する必要があることが明確になった」と分析。「すべてのユーロ加盟国がEUの安定成長協定を確実に順守する必要がある」と強調している。

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ユーロ圏内における貿易不均衡の問題をめぐっては、フランスのラガルド経済財務雇用相が先月半ば、ドイツの巨額黒字が他のユーロ圏諸国の競争力を脅かしているとして、ドイツに内需拡大を求める考えを表明した。ドイツのメルケル首相はこれに対し、ドイツの好調な輸出がユーロ圏経済の不均衡を招いているとの考えは誤りだと反論。ドイツは自らの強みを捨てるべきではないと強調していた。

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