2010/4/12

環境・通信・その他

国際離婚法的手続きのルール統一、仏伊など10カ国だけで先行実施

この記事の要約

欧州委員会はこのほど、EU内の国際離婚をめぐる法的手続きの共通ルールを定める法案を賛同する10カ国だけで施行することを提案した。国籍の異なる夫婦が離婚する場合、どの国の法律を適用して手続きを進めるかについて、10カ国では […]

欧州委員会はこのほど、EU内の国際離婚をめぐる法的手続きの共通ルールを定める法案を賛同する10カ国だけで施行することを提案した。国籍の異なる夫婦が離婚する場合、どの国の法律を適用して手続きを進めるかについて、10カ国では夫婦が合意の上で選べるようにする。加盟国および欧州議会の承認を経て実施する。

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新ルールはEUの異なる国籍を持つ夫婦で、しかもEU内の異なる国に別居しているか、2人の本国以外の別の国で一緒に暮らしているケースでの離婚が対象。EUでは現在こうした国際離婚ついて、どの国の法律を適用するかに関して共通ルールがなく、混乱が生じている。例えば、英国に住むアイルランド人の夫とフィンランド人の妻が離婚する場合、アイルランドで離婚を申請すれば、4年の別居期間を設けた上で初めて離婚が認められる一方、フィンランドでは6カ月で離婚が成立する。英国で申請すると、財産分与などについて妻の側が有利となる。このため、配偶者の一方が相手を出し抜き、自分に有利な国でいち早く申請するといったケースも相次いでいる。

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こうした問題を解消するため、欧州委は2006年に法案を発表したが、これを強く支持する国がある一方で、反対する国が多く調整が難航していた。このため、意見が分かれた場合でも、加盟国のうち9カ国以上が賛同すれば、それらの国だけで先行して法案を実施することを認めるとするEU基本条約の条項を活用することにした。同条項の適用は1997年に導入されてから初めて。

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新法案を実施するのはフランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ギリシャ、ルクセンブルク、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロベニアの10カ国。例えばイタリアに住む夫がフランス人、妻がスペイン人の夫婦が離婚する場合、夫婦はイタリアの裁判所に対して、フランス、スペインのうち2人で合意した国の法律に従って手続きを進めるよう求めることができる。合意できない場合は、イタリアの裁判所がどの国の法律を適用するかを決める。この場合の判断基準には(1)夫婦が一緒に暮らしている国の法律(2)現在一緒に暮らしていない場合は、最も近い過去において一緒に暮らしていた国の法律――という優先順位があり、この夫婦のケースではイタリアの法律に基づいて離婚手続きが進められることになる。

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