2010/4/12

環境・通信・その他

ESAの氷床観測衛星打ち上げ成功、温暖化が極域の氷に与える影響を解明

この記事の要約

欧州宇宙機関(ESA)は8日、両極やグリーンランドの氷の厚さを測定するための観測衛星「クリオサット2(CryoSat-2)」の打ち上げに成功したと発表した。クリオサット2は高度720キロの軌道を周回し、向こう3年半にわた […]

欧州宇宙機関(ESA)は8日、両極やグリーンランドの氷の厚さを測定するための観測衛星「クリオサット2(CryoSat-2)」の打ち上げに成功したと発表した。クリオサット2は高度720キロの軌道を周回し、向こう3年半にわたり北極海の浮氷や南極大陸とグリーンランドの氷床などの変化を詳細に観測する。これらの地域の氷は地球温暖化で減少が指摘されており、将来的に深刻な海面上昇を引き起こすと考えられている。先端技術を搭載した衛星からの観測データを利用して、気候変動が極域の氷に与える影響についても研究が大きく前進すると期待されている。

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クリオサット2はカザフスタンのバイコヌール宇宙基地からドニエプルロケットで打ち上げられ、発射から約17分後にケニアで同衛星から最初の信号を受信した。衛星を利用した氷床観測は、EU独自の地球観測プロジェクト「GMES」の一環として計画が進められていた。2005年には前身の「クリオサット1」が打ち上げられたが、ロケットの不具合で墜落。5年遅れでようやくプロジェクトが再始動した。

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ESAの地球観測プログラム担当責任者フォルカー・リービヒ氏は声明で「海氷が減少していることは既存の観測データから明らかだが、実際にどのくらいの量の氷が消失しているかを早急に把握する必要がある。クリオサット2はそのために不可欠な氷床や浮氷の厚さに関する正確なデータを提供する」と説明している。

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