2010/4/19

環境・通信・その他

EUレベルで輸入品に炭素関税導入を、仏伊首脳が欧州委に働きかけ

この記事の要約

フランスのサルコジ大統領とイタリアのベルルスコーニ首相は15日、欧州委員会のバローゾ委員長に連名で書簡を送り、温室効果ガス削減の取り組みが不十分な国からEU域内への輸入品に対する「炭素関税」の導入を検討するよう要請した。 […]

フランスのサルコジ大統領とイタリアのベルルスコーニ首相は15日、欧州委員会のバローゾ委員長に連名で書簡を送り、温室効果ガス削減の取り組みが不十分な国からEU域内への輸入品に対する「炭素関税」の導入を検討するよう要請した。両首脳は厳しい国際競争下にある産業部門の企業が規制の緩い第3国に移転する「カーボンリーケージ」を防ぐため、EUと同等の温室効果ガス排出規制を導入していない国からの輸入品を対象に、二酸化炭素(CO2)排出量に応じて炭素税を課税する「国境税調整」を実施すべきだと主張。早急に具体的な課税条件について検討するよう求めている。

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EU加盟国の間では、域内の企業はEUの厳しい規制の下で温室効果ガスの削減目標を達成するため多大なコスト負担を強いられており、規制が緩やかな米国、中国、インドなどの企業との競争で不利に立たされているとして、輸入品への課税を求める声が高まりつつある。一方、フランスは化石燃料の需要を抑制して家庭や企業から排出されるCO2を減らすため、今年1月からガソリンやガスなどに課税する制度の導入を計画していたが、実施方法をめぐり昨年末に違憲判決が出されたことや、新たなコスト負担に対する産業界の根強い反発を踏まえ、3月に行われた地方選挙での中道右派与党の大敗を機に計画を断念。サルコジ大統領はその際、フランス単独ではなく、EUレベルでの炭素税導入に向けて他の加盟国や欧州委に働きかけを行う意向を示していた。

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両首脳は書簡で「温室効果ガス削減に向けたEUの野心的な取り組みがカーボンリーケージを引き起こす事態を容認することはできない」と強調。いかなる課税制度も保護主義的なものであってはならないとしたうえで、輸入品に対する特別関税を導入することで、域外の第3国にEU並みの温暖化対策を促すことができると主張している。

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