2010/5/10

環境・通信・その他

欧州議会環境委、新食品規則の改正案採択

この記事の要約

欧州議会の環境委員会は4日、新たな手法や技術によって生産された食品の安全な流通を目的とする「新規食品規則」の改正案を賛成多数で採択した。クローン技術で生まれた家畜とその子孫の肉や乳などを利用した食品を認可の対象から除外す […]

欧州議会の環境委員会は4日、新たな手法や技術によって生産された食品の安全な流通を目的とする「新規食品規則」の改正案を賛成多数で採択した。クローン技術で生まれた家畜とその子孫の肉や乳などを利用した食品を認可の対象から除外することや、ナノテクノロジーを使って生産された食品については厳格なリスク評価を行うことなどを盛り込んだ内容。新規食品の流通促進に主眼を置いた欧州委員会の原案に比べ、環境委の修正案は予防原則に基づいて安全性の確保を重視した内容になっている。法案は7月の欧州議会本会議で採決される見通しだ。

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新規食品は、新規食品規則が発効した1997年5月より前にはほとんど消費されていなかった食品と定義されている。具体的には新たな技術や手法によって生産された食品や、世界の他の地域では以前から消費されていたが、EU諸国では伝統的に消費されてこなかった食品などを指す。欧州委は遺伝子組み換え、クローン、ナノテクなどの技術革新を背景に、高い水準の安全性を確保しながら消費者に新たな選択肢を提供するため、2008年1月に認可手続きの一元化などを柱とする新規食品規則の改正案を採択した。

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改正案をめぐる議論で最大の焦点となっているのはクローン家畜由来食品の扱い。欧州委はクローン技術で生まれた家畜の肉や乳などを利用した食品を認可の対象とする一方、クローン家畜の子孫に由来する食品は対象外とする案を提示したのに対し、EU閣僚理事会は子孫も含めたクローン家畜由来食品を認可の対象とする案を採択している。欧州議会は以前から、クローン技術で生産された動物の食品化に反対の立場を表明しており、環境委はすべてのクローン家畜由来食品を新規食品の対象から除外する案を賛成42、反対2(棄権3)で採択。欧州委に対し、新規食品規制とは別に、すべてのクローン家畜由来食品のEU域内での流通を禁止する法案を策定するよう求めている。

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一方、ナノテクノロジーを使って生産された食品に関しては、通常の認可手続きとは別に、事前に厳格なリスク評価を行うことや、ナノ粒子を含むすべての素材について明確なラベル表示を義務付けるルールが追加されている。

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