2010/5/10

環境・通信・その他

補償額上限“思い出の品”も例外なし、航空旅客の荷物紛失で欧州裁判決

この記事の要約

欧州司法裁判所は6日、航空会社が旅客から預かった荷物を紛失した場合の補償金額について、物質的なもの以外の、お金には代えられない思い出の品や家宝などの紛失により精神的に傷つけられた場合でも国際的な取り決め通り1,134.7 […]

欧州司法裁判所は6日、航空会社が旅客から預かった荷物を紛失した場合の補償金額について、物質的なもの以外の、お金には代えられない思い出の品や家宝などの紛失により精神的に傷つけられた場合でも国際的な取り決め通り1,134.71ユーロが上限になるとの判決を下した。これはスペインのバルセロナ商業裁判所が欧州司法裁に判断を委ねていたもの。

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スペインの格安航空会社クリックエアー(現ヴューリング・エアラインズ)のバルセロナ~オポルト線を利用した乗客は2008年4月、同航空会社が亡き祖母の唯一の写真が入った預け荷物を紛失したことに対し、精神的な打撃に対する500ユーロを含む3,200ユーロの支払いを求めてバルセロナ商業裁判所に提訴した。しかし同商業裁判所は、補償額として定められた上限の対象は物質的な損害だけか、それ以外の損害も含まれるのかという判断を欧州司法裁に委任していた。

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国際航空輸送に関するモントリオール条約では紛失荷物に対する支払い補償額の上限は国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)を基準にした1,000SDRで、これは今年4月時点では1,134.71ユーロに相当する。EUの法規では域内の航空会社に対して同条約に規定された支払い責任を義務付けている。

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欧州司法裁は今回、モントリオール条約は補償について明確な上限を示しているとともに、物理的な損害と精神的な損害の区別はつけていないと指摘。このため同条約が定めた上限は「絶対的なものであり、物質的な損害も非物質的な損害も含まれる」との見解を示した。

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