2010/5/10

環境・通信・その他

産業施設の汚染物質排出規制案、欧州議会環境委が採択

この記事の要約

欧州議会の環境委員会は4日、EU域内の産業施設から排出される汚染物質を規制するための法案を賛成多数で採択した。エネルギー、金属、化学、廃棄物処理など重工業分野の約5万2,000の施設を対象に、有害ガスやばい塵などの汚染物 […]

欧州議会の環境委員会は4日、EU域内の産業施設から排出される汚染物質を規制するための法案を賛成多数で採択した。エネルギー、金属、化学、廃棄物処理など重工業分野の約5万2,000の施設を対象に、有害ガスやばい塵などの汚染物質に新たな排出基準を設け、産業活動に伴う空気、水質、土壌の汚染を防止・削減する。EU加盟国は2016年から20年の段階的実施で合意していたが、環境委は対象施設に対して遅くとも19年半ばまでに基準値の順守を義務付けることなどを盛り込んだ修正案を賛成40、反対13(棄権4)で採択した。7月の欧州議会本会議で採決を行う。

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産業施設から排出される汚染物質に対する規制は業種などによってルールが細分化されているため、操業許可などの手続きが煩雑で、企業と監督当局の双方にとって大きな負担になっている。また、現行ルールにはさまざまな例外規定があり、多くの施設が厳しい規制を免れて操業している。欧州委員会はこうした現状を踏まえ、20 07年12月に大気、水、土壌に対する汚染物質の排出を総合的に管理する「総合的汚染防止管理(IPPC)指令」(1996年制定)など7つのEU指令を統合したうえで、特定の業種や汚染物質について規制を強化するための新たな法案を打ち出した。

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新ルールは人体や動物、環境に影響を及ぼす硫黄酸化物、窒素酸化物、ばい塵、アスベスト、重金属などについて「利用可能な最善の技術(BAT)」を基に厳しい排出基準を設け、対象施設に対して16年までに基準値の順守を義務付けるという内容。ただし、BATの導入状況などを考慮して、各国当局は石炭火力発電所などの大規模燃焼施設について移行期間として最大3年半の猶予を与えることができる。その場合は段階的実施計画を策定して事前に欧州委の承認を得なければならない。また、2003年11月以降に操業を開始した施設にはこの例外規定は適用されない。一方、16-20年末までの操業時間が1万2,500時間以下の燃焼施設に関しては、20年末まで4年間の猶予期間が与えられる。

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