2010/5/17

総合 –EUウオッチャー

スペイン・ポルトガル、追加緊縮策を発表

この記事の要約

スペインとポルトガルが13日までに、相次いで追加の財政再建策を発表した。財政悪化で第2のギリシャとなることが懸念される両国は、今年に入って財政再建策をまとめたが、市場や他のユーロ圏諸国の圧力により追加措置の導入を迫られた […]

スペインとポルトガルが13日までに、相次いで追加の財政再建策を発表した。財政悪化で第2のギリシャとなることが懸念される両国は、今年に入って財政再建策をまとめたが、市場や他のユーロ圏諸国の圧力により追加措置の導入を迫られた。

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昨年の財政赤字が国内総生産(GDP)比11.2%と、ユーロ圏でアイルランド、ギリシャに次ぐ高水準となったスペインは1月、総額500億ユーロの歳出削減策をまとめた。政府が12日に発表した追加策は◇公務員給与の5%カット◇出産補助金の廃止◇年金支払いの抑制◇公共事業の60億ユーロ削減◇政府開発援助の6億ユーロ削減――など。これにより2010、2011年の歳出を150億ユーロ減らし、財政赤字を2011年にはGDP比6%まで削減、2013年までにEU財政規律で上限となっている3%以下まで圧縮する。

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サパテロ首相率いる社会労働党政権は、生活者重視を公約に掲げてきた。公務員の給与削減などの措置はそれに反するものだが、政府は財政再建を積極的に進めて市場の信頼を回復するため、厳しい財政緊縮に踏み切った。

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一方、ポルトガル政府が13日発表した追加策は、付加価値税率の20%から21%への引き上げ、所得税率の最大1.5%引き上げ、大企業の法人税率の2.5%引き上げなど。政府は3月、公務員の昇給制限や景気刺激策の縮小、防衛支出削減などを盛り込んだ向こう4年間の財政再建計画をまとめたばかりだったが、EUの欧州委員会が景気、税収見通しが楽観的として4月に追加策を求めていた。今回の一連の措置により財政赤字削減のペースを速め、昨年にGDP比9.4%だった赤字を2010年に7%、11年に4.6%まで削減することを目指す。

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