2010/5/17

総合 –EUウオッチャー

エストニアが来年ユーロ導入へ、欧州委が基準達成と認定

この記事の要約

欧州委員会は12日、エストニアがユーロ導入の条件を満たしていると認定し、2011年1月の導入を認める方針を打ち出した。これによりエストニアのユーロ参加は事実上確定。6月のEU首脳会議での承認を経て、7月のEU財務相理事会 […]

欧州委員会は12日、エストニアがユーロ導入の条件を満たしていると認定し、2011年1月の導入を認める方針を打ち出した。これによりエストニアのユーロ参加は事実上確定。6月のEU首脳会議での承認を経て、7月のEU財務相理事会で正式決定する。中東欧諸国のユーロ参加はスロベニア、スロバキアに次ぐ3カ国目。ユーロ圏は17カ国体制に拡大する。

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ユーロ導入には欧州為替相場メカニズム(ERM2)に最低2年間加わり、自国通貨の対ユーロ標準値の変動率を上下15%以内に抑えることが求められるほか、財政赤字、債務残高、インフレ率、長期金利の4項目で基準を満たす必要がある。エストニアは当初、2007年1月のユーロ導入を目指していたが、高いインフレ率が障害となって断念。政府は新たに2011年の導入を目標としていた。

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エストニア経済は2009年の成長率がマイナス14.1%と落ち込んだ。しかし、政府はユーロ導入に向けて財政改善に積極的に取り組み、同年の赤字は国内総生産(GDP)比1.7%と、ユーロ導入基準で上限と定められている同3%を大きく下回った。欧州委によると、2010、11年も2.5%と、上限内に収まる見通しだ。また、政府債務残高を国内総生産(GDP)比60%以内に抑えるという基準についても、2009年の残高は7.2%となって満たした。欧州委は同国がこのほかの基準も満たしたと認定し、来年1月からのユーロ導入を認める判断を下した。

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EUでは他の中東欧諸国もユーロ導入を目指しているが、リーマンショックに端を発した金融・経済危機の影響で財政が悪化したことに加え、ギリシャ危機によるユーロ圏の混乱を受けて、エストニアを最後に少なくとも向こう数年間は新規導入する国はないとの見方が有力だ。同地域で最大の経済国であるポーランドは当初、2012年のユーロ導入を目指していたが、金融・経済危機による財政悪化、通貨安を受け、政府は昨年7月に導入の延期を決定。政府内では導入時期について「2015年が現実的」との認識で一致している。しかし、ギリシャの財政危機に端を発したユーロの信用低下で、ユーロ参加に慎重な動きが出ており、トゥスク首相はこのほど記者会見で「ユーロ導入は優先課題ではない」と早期参加に消極的な姿勢を示した。

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