2010/5/31

競争法

新車販売の競争法一括適用除外、2013年に廃止へ

この記事の要約

欧州委員会は27日、自動車販売およびアフターサービス市場における競争法の一括適用除外を規定したEU規則の改正案を採択した。自動車販売についてはすでに十分な競争環境が確保されているとの判断に基づき、3年間の移行期間を経て現 […]

欧州委員会は27日、自動車販売およびアフターサービス市場における競争法の一括適用除外を規定したEU規則の改正案を採択した。自動車販売についてはすでに十分な競争環境が確保されているとの判断に基づき、3年間の移行期間を経て現行規則を廃止し、すべての業種を対象とする垂直的制限行為(メーカーと販売業者による協定)の一括適用除外に関する規則(2010年4月改正)を適用する。一方、修理や保守・点検などのアフターサービス市場に関しては、独立系を中心とする中小の修理業者が依然として競争で不利な立場に置かれているため、条件を厳格化したうえで一括適用除外の規定を維持する。自動車販売市場については2013年6月から、アフターサービス市場に関しては現行規則が失効する6月1日から新ルールが施行され、ともに23年5月31日まで適用される。

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EU競争法は販売ルートの上流と下流に位置する事業者間の協定を禁止しているが、競争力の弱い中小企業が厳格な規制によって過度の負担を強いられることのないよう、一定の条件を満たした場合に事業者間の協定を認める例外規定を定めており、自動車流通市場も一括適用除外の対象となっている。しかし、自動車メーカーが独自のディーラー網を通じて新車販売市場で支配力を強める結果となったため、EUは競争促進を図る目的で、02年にメーカーがディーラーに対して取扱い車種や営業地域などを制限するシステムの撤廃を柱とする規則を採択。05年には地理的制限条項(ロケーションクローズ)も廃止され、ディーラーは域内の他の国に販売拠点を開設したり、国外で宣伝活動を行うことができるようになった。ただし、メーカーが営業所の設備や販売員に対する訓練などについて一定の基準を設け、条件を満たしたディーラーとのみ取引することを認めた選択的販売制度は維持されている。

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一方、02年の改正ではディーラーにアフターサービスの提供を義務付けたルールが廃止され、独立系の修理業者がディーラーから修理や保守・点検業務を請け負えるようになった。ただし、ここでもメーカーは修理施設の設備や従業員に対する専門的訓練などについて基準を設け、条件を満たした認定業者にのみ技術情報やスペア部品を提供することを認めた競争法の適用除外が維持されている。

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欧州委はまず新車販売市場について、現行ルールの下ですでに独立販売業者が参入しやすい環境が整い、消費者にとって選択肢が増えて価格競争も激しくなっていると分析。現在の複雑な規則が新車価格を平均30%押し上げていると指摘し、13年5月末までに現行の一括適用除外を廃止して、一般の垂直的制限行為に対する適用除外と同様のルールに移行することを決めた。

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アフターサービス市場に関しては、独立修理業者がメーカーから認定書の発行を拒否され、技術情報にアクセスできないといったケースが見受けられると指摘。現行ルールが失効する6月以降も一括適用除外を維持し、市場シェアが30%未満の業者に限って同制度の適用を認める。一方、メーカーはこれまで認定業者がオイル交換やその他の保守・点検業務を行った場合にのみ認定証を発行していたが、今後はこうした差別的扱いが禁止される。

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