2010/5/31

環境・通信・その他

欧州委が通信市場統合のリポート公表、共通ルール実施にばらつき

この記事の要約

欧州委員会は25日、電気通信分野における市場統合の進捗状況をまとめた年次リポートを公表した。EU全体としては市場競争が促進され、料金の低下やサービス向上がみられるものの、国によってEUが定める共通ルールの実施状況にばらつ […]

欧州委員会は25日、電気通信分野における市場統合の進捗状況をまとめた年次リポートを公表した。EU全体としては市場競争が促進され、料金の低下やサービス向上がみられるものの、国によってEUが定める共通ルールの実施状況にばらつきがあり、依然として国ごとに市場が分断されていると分析。現行ルールの確実な実施と次世代ブロードバンド網(NGA)など鍵となるプロジェクトへの積極的な投資がEU経済の成長促進につながると指摘している。

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欧州委はまず、EU27カ国のGDP伸び率が2009年は4.2%のマイナス成長となったのに対し、通信市場は前年の水準を維持し、深刻な経済危機を乗り越えたと評価。そのうえで、一部の加盟国でEUルールの導入が遅れており、規制レベルにばらつきがあるため料金格差が解消されていないと指摘している。たとえば携帯電話の通話料金をみると、EU平均の1分当たり0.13ユーロに対し、最も安いラトビアは0.04ユーロ、最も高いマルタは0.24ユーロと6倍の開きがある。

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一方、ブロードバンドの人口普及率(2010年1月現在)は平均24.8%で、最も高いデンマークとオランダは37.8%、37.7%、最も低いブルガリアとルーマニアは13%となっている。このほかモバイルブロードバンドの普及率は5.2%と、1年前に比べてほぼ2倍に拡大。フィンランド、ポルトガル、オーストリアではいずれも15%を超えている。

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欧州委のクルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は声明で「厳しい経済状況の中でインターネットやモバイルブロードバンドの普及拡大は明るい材料だが、残念ながら単一市場の形成に向けた動きは鈍い。加盟国はEUルールの確実な実施と革新的サービスへの投資を加速させる必要がある」と強調している。

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EUは先に発表した情報通信技術(ICT)分野の新戦略「デジタルアジェンダ」の中で、2013年までにブロードバンドの100%普及を目指す方針を打ち出している。

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