2010/6/14

総合 –EUウオッチャー

オランダ総選挙で反イスラム政党が躍進、中道右派を中心に連立協議へ

この記事の要約

オランダで9日実施された下院選挙(定数150議席)は即日開票され、中道右派の野党・自由民主党(VVD)が31議席を獲得し、中道左派の労働党の30議席を押さえて初めて第1党となり、政権交代が確実となった。また、移民阻止と反 […]

オランダで9日実施された下院選挙(定数150議席)は即日開票され、中道右派の野党・自由民主党(VVD)が31議席を獲得し、中道左派の労働党の30議席を押さえて初めて第1党となり、政権交代が確実となった。また、移民阻止と反イスラムを掲げる極右の自由党(PVV)は議席数を9から24に大幅に増やして第3党に躍進した。

\

VVDのルッテ党首が首相となる可能性が高いものの同党は過半数を大幅に下回るため、複数政党との連立政権樹立に向けて交渉を開始する。連立協議は早ければ今月中にもまとまるもようだが、これまでの例では数カ月にわたる場合もある。

\

バルケネンデ首相率いる中道右派のキリスト教民主勢力は21議席と改選前の半分未満に沈んで第4党に転落し、首相は責任を取って辞意を表明したため8年ぶりの政権交代が確定した。

\

VVDは徹底した財政赤字削減で支持を広げた。PVVは選挙戦を通じてこれに反対していたものの、年金受給年齢の引き上げなど主要な緊縮財政策を受け入れる用意があることを表明し、政権参画に意欲を示している。労働党は当初からPVVとの連立を拒否しているが、VDDとキリスト教民主勢力はPVVとの連立の可能性も排除していないことから、3党で76議席とかろうじて過半数を上回る新政権が誕生するとの見方も出ている。

\

PVVのウィルダース党首は、2008年にイスラム教の聖典コーランを非難する映画「フィトナ」を制作し、イスラム教をナチズムになぞらえコーランの発禁を唱えるなど反イスラムを標ぼうする。このためオランダのイスラム教団体は選挙結果に衝撃を受けているが、PVVが連立に参加すればイスラム諸国からの反発も予想される。

\

ただ、VVDとPVVには政策に隔たりがあることから交渉を始めても決裂するとの見方もあり、オランダ産業・雇用者連合の議長もVDDに対して労働党との妥協点を見出すよう呼びかけている。

\