2010/6/14

総合 –EUウオッチャー

10年で貧困層2千万人削減、EUが成長戦略の一環で合意

この記事の要約

EU加盟国は7日に開いた雇用・社会政策担当相理事会で、向こう10年間の成長戦略「欧州2020」の一環として、域内の貧困層を2,000万人減らす目標を定めることで合意した。17日に開かれるEU首脳会議で承認される見込みだ。 […]

EU加盟国は7日に開いた雇用・社会政策担当相理事会で、向こう10年間の成長戦略「欧州2020」の一環として、域内の貧困層を2,000万人減らす目標を定めることで合意した。17日に開かれるEU首脳会議で承認される見込みだ。

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3月の首脳会議では「欧州2020」について研究開発、教育、雇用創出、クリーンエネルギー、貧困について目標を設定することで合意した。しかし、貧困については各国間で所得の開きが大きいことから目標明示は難しいとの見方が加盟国から出され、具体的な数字の設定は先送りされていた。

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今回の合意では、貧困の定義について3つの基準を決めた。1つは所得が各国の所得中央値の60%に満たない場合で、域内では現在こうした人々は約8,000万人に上る。ほかの2つの基準は世帯内で就労年齢の全員が長期にわたり職がないこと、および一定の製品やサービスを購入できないことで、これら3つの基準に当てはまる貧困層は合わせて1億2,000万人程度という。目標は10年間で、このうち6分の1を減らそうというもの。各国は今後、貧困削減プログラムを策定し、欧州委員会がその実効性を確かめて調整を行う。

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これに対して非政府組織(NGO)の統括組織である欧州反貧困ネットワーク(EAPN)は、EUが定める制度はやや複雑すぎるものの目標を野心的として評価し、「各国レベルでどうやって実行に移すかにかかっている」と指摘している。

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