2010/6/14

環境・通信・その他

携帯ローミング規制は「EU法に合致」、欧州裁が大手4社の訴え棄却

この記事の要約

欧州司法裁判所は8日、EU域内の他の国で携帯電話を使用する際のローミング料金に一律の上限を設けた「ローミング規則」(2007年制定)はEU法に合致しているとの判断を示し、同規則の無効化を求めた大手携帯電話事業者4社の訴え […]

欧州司法裁判所は8日、EU域内の他の国で携帯電話を使用する際のローミング料金に一律の上限を設けた「ローミング規則」(2007年制定)はEU法に合致しているとの判断を示し、同規則の無効化を求めた大手携帯電話事業者4社の訴えを退ける判決を下した。EUでは同規則に基づいて7月1日から新たな規制が導入されることになっており、欧州委員会はローミング料金の上限設定が単一市場の実現に向けた適切な措置と認定されたことを歓迎している。

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EUでは国外で携帯電話を使用する際のローミング料金が不当に高く設定されているとして、欧州委が2006年に料金規制の構想を打ち出し、翌年にローミング規則が採択された。さらに昨年6月には国外でショートメッセージサービス(SMS)を利用する際の料金を制限することなどを柱とする新たな規制案が採択され、段階的に導入が進められている。

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域内の携帯電話事業者は当初から、すでに自主規制によって国外での通話料金が大幅に引き下げられていると主張し、ローミング料金の上限設定に強く反発していた。英ボーダフォン、スペインのテレフォニカO2、独Tモバイル、仏オレンジは07年9月、単一市場の形成を目的とするEC条約第95条はローミング規則の法的根拠として不十分と指摘し、英国で同規則の無効化を求める訴訟を提起。英高等法院がEU法との整合性について欧州司法裁に判断を求めていた。

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欧州裁は判決で「ローミング規則の導入時点では、国際ローミングサービスのリテール料金は明らかに高い水準にあり、EU各国の通信監督機関および行政当局、消費者団体などから恒常的な問題とみなされ、既存ルールによる問題解決は困難と考えられていた」と指摘。ローミング料金の上限設定を柱とする同規則はEC条約第95 条を根拠法とする単一市場の実現に向けた適切なアプローチであり、EUレベルの規制は補完性の原則と比例性の原則からも逸脱していないと結論づけた。

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欧州委によると、ローミング規則が施行された07年6月以降、域内の他の国で携帯電話を使用する際の通話料金は05年の水準と比べて平均70%下がり、テキストメッセージを送信する際のコストも約60%下落した。今年3月にはモバイルインターネットに対する料金規制が導入され、域内の携帯電話事業者は7月1日以降、ユーザーが事前に設定した1カ月のデータ通信料の上限(申請がない場合は月50ユーロ)の80%に達した時点で警告を行い、上限を超えた場合は引き続きサービスを利用するための手続きなどを通知したうえで、ユーザーから反応がなければサービスを打ち切ることが義務付けられる。さらに、通話料金の上限ももう一段階引き下げられ、発信時は1分当たり最大0.39ユーロ、着信時は0.15ユーロに制限される。

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