2010/6/14

環境・通信・その他

EUでバイオ燃料の認証制度導入へ、欧州委が業界などに呼びかけ

この記事の要約

欧州委員会は10日、EU域内で使用されるあらゆる種類のバイオ燃料について、各国政府や産業界に厳格な基準に基づく認証制度の構築を呼びかける通達を採択した。EUの再生可能エネルギー指令は持続可能性に配慮して生産されたバイオ燃 […]

欧州委員会は10日、EU域内で使用されるあらゆる種類のバイオ燃料について、各国政府や産業界に厳格な基準に基づく認証制度の構築を呼びかける通達を採択した。EUの再生可能エネルギー指令は持続可能性に配慮して生産されたバイオ燃料のみ域内で使用できると定めており、厳格な基準に基づく認証制度を整えることで、途上国の森林破壊をはじめとする環境問題を回避しながら2020年を期限とする再生可能エネルギー導入目標の達成を目指す。

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EUが08年12月に採択した再生可能エネルギー指令は、20年までにエネルギー需要の少なくとも20%を再生可能エネルギーで賄うとともに、輸送燃料に占める再生可能エネルギーの比率を10%に引き上げるという目標を掲げている。生物由来の有機性資源を原料とするバイオ燃料は再生可能エネルギー資源の柱の1つと位置付けられているが、世界的な需要拡大に伴い、森林破壊などの環境問題や食糧との競合による穀物価格の高騰といった問題が浮き彫りになった。

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EUはこうした問題に対応するため、再生可能エネルギー指令の中でバイオ燃料の「持続可能性基準」を定め、各国が認証機関を設置して運用を行うことや、認証されたバイオ燃料のみを各国の目標達成量に算入できる仕組みを導入することなどを盛り込んだ。バイオ燃料の持続可能性基準は◇熱帯雨林や湿地など、生物多様性および炭素貯留の高い土地で生産された原料を利用していないこと◇温室効果ガス削減率が35%以上であること(17年以降は削減率50%以上、18年以降の新規プラントで生産されるバイオ燃料は削減率60%以上)――など。

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欧州委は今回の通達で、これらの基準に沿ってバイオ燃料の持続可能性を証明する「自主的スキーム」を構築し、独立した監視機関を置いて原料の生産からバイオ燃料の流通に至る全プロセスをモニターするよう加盟国に要請した。欧州委はまた、認証を受けたバイオ燃料のみ各国の目標達成量としてカウントすることができ、基準を満たせなかった場合は補助金の対象からも除外されて実質的に流通が不可能になると説明。さらに原料の生産地に関する要件に関連して、パーム油の生産を目的に森林を伐採するプランテーション開発は認められないとの見解を示した。

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