2010/6/21

総合 –EUウオッチャー

フィンランドなど3カ国も財政規律違反、欧州委が赤字是正手続きに着手

この記事の要約

欧州委員会は15日、フィンランド、デンマーク、キプロスの3カ国について、EUの財政規律を定めた安定成長協定に違反したとして、財政赤字の是正を促す手続きに着手したと発表した。7月13日に開かれるEU財務相理事会の承認を経て […]

欧州委員会は15日、フィンランド、デンマーク、キプロスの3カ国について、EUの財政規律を定めた安定成長協定に違反したとして、財政赤字の是正を促す手続きに着手したと発表した。7月13日に開かれるEU財務相理事会の承認を経て、赤字是正手続きを正式に発動する。これによりEU27カ国で赤字是正手続きを逃れているのは、スウェーデン、ルクセンブルク、ブルガリア、エストニアの4カ国だけとなった。

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安定成長協定では、加盟国は単年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以下に抑えなければならない。リーマンショック以降の不況で、多くの加盟国が財政悪化に陥り赤字是正手続きを発動される中、3カ国は健全な財政運営に努めてきたが、景気対策への財政出動もあってついに規律違反となった。

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キプロスは2009年の赤字がGDP比6.1%に膨らみ、上限を超過。フィンランド、デンマークは2010年の赤字がそれぞれ4.1%、5.4%と上限を超える見通しだ。欧州委が設定した3カ国の赤字是正期限は、フィンランド2011年、キプロスが2012年、デンマークが2013年となっている。

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一方、欧州委は同日、すでに赤字是正手続きを発動されている国のうち、スペイン、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、オーストリア、ポルトガル、アイルランド、チェコ、スロバキア、スロベニアの12カ国の財政再建計画を検証する報告書を公表。いずれの国も欧州委の勧告に沿って積極的に赤字削減に取り込んでいると結論付けた。ただ、巨額の赤字を抱え、第2のギリシャとなることが懸念されるスペイン、ポルトガルに関しては、2011年以降の財政再建計画で具体性に欠けると指摘。2011年の赤字削減目標のうち、スペインはGDP比1.75%、ポルトガルは同1.5%に相当する部分について、詳細な削減計画を固めるよう求めた。

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