2010/6/21

総合 –EUウオッチャー

英政府が金融規制改革案を発表、監督権限の大半を中銀に移管

この記事の要約

英国のオズボーン財務相は16日、金融規制の改革案を発表し、金融機関の監督権限の大半を金融サービス機構(FSA)から中銀のイングランド銀行に移管することなどを明らかにした。金融危機の再発を防ぐことを狙ったもので、これにより […]

英国のオズボーン財務相は16日、金融規制の改革案を発表し、金融機関の監督権限の大半を金融サービス機構(FSA)から中銀のイングランド銀行に移管することなどを明らかにした。金融危機の再発を防ぐことを狙ったもので、これによりFSAは2年余りで廃止されることになった。この改革案は議会の承認を経て、2012年までには新体制への移行を完了させる。

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計画ではFSAを解体して3つの機能に分ける。一般銀行や投資銀行、保険会社など金融機関の業務を監督する権限は、中銀の傘下に新たに設立する金融規制局に付与する。金融サービスを受ける消費者の保護を担当する機関として消費者保護・市場庁を設ける。また、金融関連の不正行為の取り締まりは経済犯罪庁が担当する。FSAトップのサンツ氏は今夏で辞任する予定だったが、新しい金融規制局の責任者となることが決まった。

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また中銀には、銀行による過剰な貸し付けや資産バブルを未然に防ぎ金融システムの安定化に向けた監督のために金融行政委員会(FPC)を創設する。これはインフレの阻止と金利政策を担う金融政策委員会(MPC)と並ぶもので、中銀のキング総裁がMPCとともにFPCのトップを務める。

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FSAは労働党が1997年に政権を奪取してすぐに当時のブラウン財務相により設立された。中銀による金融機関の監督が不十分であるとの批判に応えたもので、金融規制は中銀とFSA、財務省が共同で責任をとる体制となった。

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しかし今回の金融危機ではこれが機能せず、オズボーン財務相によれば「誰が責務を負っているのか誰もわからなかった」という。保守党は野党時代から金融規制の改革を唱えており、中銀に権限を集中させる理由として、「中銀は銀行にとって最後の砦であり、金融危機の経験から中銀が支援する必要のある金融機関のあらゆる面に通じている必要があるため」と説明している。

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なお政府は今回、大手銀行を投機的な投資銀行業務とリテール(小口金融)業務に分離する可能性について検討するための独立委員会を設けることになった。さらにオズボーン財務相は、銀行に対する新課税を導入する計画を改めて示すとともに、金融機関に対して給与やボーナスを抑えるように求めることを明らかにした。

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