2010/6/21

産業・貿易

EVの安全基準と車両型式認証、欧州委がUNECEルールの導入を提案

この記事の要約

欧州委員会は15日、EU全域で電気自動車(EV)等の安全性に関する国際統一基準を導入する方針を明らかにした。国連欧州経済委員会(UNECE)が今年3月に採択した技術規則を早期に導入し、安全でクリーンな電気自動車の普及促進 […]

欧州委員会は15日、EU全域で電気自動車(EV)等の安全性に関する国際統一基準を導入する方針を明らかにした。国連欧州経済委員会(UNECE)が今年3月に採択した技術規則を早期に導入し、安全でクリーンな電気自動車の普及促進を図る。また、EUの車両型式認証制度に関連して、現行ルールを簡素化してUNECEの規則に基づく認証基準に適合させる方針もあわせて打ち出した。これにより、UNECEルールとEU指令による「二重規制」が解消される。いずれの提案もEU加盟国の承認を経て実施に移す。

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EU加盟国は今年2月、共通戦略の下で官民が連携して電気自動車の開発を推進し、充電インフラなどの規格統一や規制の調和などを進めることで合意した。欧州委はこれを受け、技術基準や投資計画などを盛り込んだ共通戦略の策定を進めており、その一環としてUNECEによって採択された電気自動車やハイブリッド車に関する国際安全基準を導入する方針を固めた。国際基準の導入により、EU域内で販売されるすべての電気自動車に従来型の自動車と同じレベルの安全性が確保され、同時に欧州の自動車メーカーはUNECEの基準を採用している域外の市場で自社製品を販売しやすくなる。

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電気自動車には通常、500ボルト級の高圧電池が搭載されることから、ユーザーが感電しないよう対策を講じる必要がある。UNECEの第100規則は交通事故の発生時などに高電圧部分に人体が触れるのを防ぐための方法を示すと共に、検査方法についても基準を設けている。さらに、電気自動車はエンジン音が静かなため、ユーザーの意図に反して発進する危険性があることをユーザーに知らせるようメーカーに義務付けることや、充電中に車両が動き出さないようにするための安全装置の要件などが盛り込まれている。

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一方、車両型式認証制度に関しては、UNECEの認証基準に一本化することで欧州メーカーは同基準を採用している第3国でも容易に認証を得られるようになり、欧州自動車産業の競争力強化につながる。これまでは技術面だけでなく、認証手続きなど行政面でもUNECEルールとEU指令による二重規制の状態が続いていた。

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