欧州委員会が22日公表した世論調査「ユーロバロメーター」の最新結果で、EU市民の6人に1人が過去1年間に1回以上、請求書の支払いや食品・日用品の購入が困難だった経験のあることが明らかになった。先のEU首脳会議で採択されたEUの向こう10年間の新成長戦略「欧州 2020」でも、約8,000万人に上る域内のこうした貧困層を2,000万人減らすことを目標として盛り込んでいる。
\この調査は27カ国の約2万5,600人を対象に、5月18~22日にかけて、主に電話による聞き取りで実施したもの。2008年秋に始まった金融・経済危機の社会的影響を調べるためで、昨年6月に続いて今回が2回目となる。調査時点で生活費の支払いについて20%が請求書や借金の支払いに窮しており、15%はこれが恒常的で3%は支払いが遅れたことがあり、2%は深刻な経済的問題を抱えて各種支払いが遅れていると答えた。また約30%は過去半年間に医療費や育児費、長期介護の負担が苦しくなり、以前に比べて11%は「はるかに苦しくなった」、18%は「かなり苦しくなった」と答えている。
\回答者のうち過去1年間に自国で貧困が拡大したと感じている人は75%に達し、EU全体で拡大したと答えた人も60%に上った。財政危機の影響により各国で進められている財政緊縮策も影を落としており、特にギリシャでは85%が国内で貧困が増えたと答えている。同様にフランスで83%、ベルギーで82%、ルーマニアで75%、イタリアで75%と高い割合を占めた。
\将来的な収入については73%が年金受給額の減少は確実と考えるか、あるいは退職を延期して老後のために貯金する必要があると答えている。また20%は、まともな老後を暮らすのに十分な収入は得られないと大きな不安を感じていた。
\欧州委員会のアンドル委員(雇用・社会問題担当)は、「貧困がEUの大きな問題であり、現在の経済・金融状況がこれをさらに悪化させていることが改めて明らかになった」として、「欧州2020」での取り組みの重要性を強調した。
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