2010/6/28

環境・通信・その他

欧州人権裁が同姓婚の承認拒否を容認、オーストリア当局を支持

この記事の要約

欧州人権裁判所は25日、同性婚の承認を拒否したオーストリア当局の決定は欧州人権条約が保証する婚姻権の侵害に当たるとの訴えを退ける判決を下した。裁判所は同条約が制定された1950年代とは婚姻に対する考え方が大きく変化してお […]

欧州人権裁判所は25日、同性婚の承認を拒否したオーストリア当局の決定は欧州人権条約が保証する婚姻権の侵害に当たるとの訴えを退ける判決を下した。裁判所は同条約が制定された1950年代とは婚姻に対する考え方が大きく変化しており、婚姻関係を異性間に制限する伝統的な解釈を正当化する根拠はもはや存在しないと指摘したうえで、婚姻制度は社会的・文化的背景と深く結びついており、欧州人権条約を法的根拠として締約国に同姓婚の承認を義務づけることはできないと結論づけた。

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今回の事案は2人のオーストリア人男性が2002年にウィーン市に婚姻届を提出したところ、同性同士の結婚は法律上認められないとして当局が登録を拒否したのが発端。2人は市当局を相手取って訴えを起こし、オーストリア憲法裁判所は03年、異性間でのみ婚姻関係が認められるという伝統的解釈を正当化する判決を言い渡した。原告側は判決を不服として翌年、欧州人権裁判所に提訴。婚姻登録の拒否は明らかに性的指向に基づく差別であり、婚姻の権利や差別の禁止を定めた欧州人権条約に違反すると主張していた。

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判決は欧州人権条約の婚姻権を根拠としてオーストリア当局の決定を無効とすることはできないとの判断を示したうえで、「欧州において同性カップルも法的に認知されるべきだとのコンセンサスが形成されている」と指摘。ただ、婚姻は社会的・文化的背景と深く結びついており、それは社会によってそれぞれ大きく異なるため、同性婚を合法とするか否かは最終的に各国の判断に委ねるべきだと結論づけた。

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EU諸国では現在、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、ベルギー、スペイン、ポルトガルで同性婚が合法化されており、フランス、英国、ドイツなど10カ国以上で同性カップルに事実婚の男女と同等の権利を認める制度が導入されている。

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