2010/7/5

総合 –EUウオッチャー

EU議長国がベルギーに交代、暫定政権で大丈夫?

この記事の要約

EU議長国が7月1日付でスペインからベルギーに交代した。ユーロ危機への対応、金融規制改革など難問が山積みだが、ベルギーでは総選挙後の政局混乱で新政権が発足しておらず、足元がおぼつかない中での議長国運営を迫られ、指導力を発 […]

EU議長国が7月1日付でスペインからベルギーに交代した。ユーロ危機への対応、金融規制改革など難問が山積みだが、ベルギーでは総選挙後の政局混乱で新政権が発足しておらず、足元がおぼつかない中での議長国運営を迫られ、指導力を発揮できるかどうか疑問視されている。

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EUは現在、ギリシャを発端とするユーロ危機の再発防止に向けた財政規律強化や、ヘッジファンド、空売り規制など金融改革を進めており、ベルギーの任期中(~12月末)の決着を目指している。EUの「外務省」に当たる「欧州対外活動庁(EAS)」の早期発足も大きな課題となる。

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EUでは昨年12月に発効した新基本条約「リスボン条約」によって、首脳会議の常任議長を務めるEU大統領職が新設された。これにより首脳会議の議長は従来の半年交代の輪番制が廃止されたが、より実務的な閣僚理事会は議長国の運営となり、ベルギーの責任は重い。

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ところが、ベルギーでは6月の総選挙で、北部オランダ語圏の分離・独立を掲げる民族主義政党が大躍進して第1党となり、連立交渉が難航。議長国運営は当面、イヴ・ルテルム首相が率いる暫定政権が担うことになる。10月までに連立交渉がまとまって新政権が発足するのは難しいとの見方が多く、半年間の任期の半分以上が暫定政権に委ねられる可能性もある。

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