2010/7/5

産業・貿易

欧州企業、中国当局の差別的扱いを懸念

この記事の要約

中国に進出している欧州企業は今後の中国の成長に楽観的見通しを持っているものの、中国政府の外国企業に対する差別的な扱いが増えることに懸念を抱いている――在中国欧州商工会議所が6月29日に公表した調査結果でこのような実態が明 […]

中国に進出している欧州企業は今後の中国の成長に楽観的見通しを持っているものの、中国政府の外国企業に対する差別的な扱いが増えることに懸念を抱いている――在中国欧州商工会議所が6月29日に公表した調査結果でこのような実態が明らかになった。

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この調査は中国に進出している欧州企業を対象に毎年実施しているもので、今年は500社以上を対象に3月から4月にかけて調査を行った。これによれば中国の成長に楽観的と答えた企業は78%で昨年の65%より増え、64%は中国を投資先として上位3カ国のひとつと答えた。一方で、36%は中国政府の政策は過去2年間に公正さを欠くようになったと回答。向こう2年間に規制環境が悪化すると答えた企業は39%に上り、改善すると予想する企業は10%にすぎなかった。

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特に企業が問題としているのは、法規や規制の差別的な適用や知的財産権の保護が不十分な点、会社登記やビザ、労働許可証などの不透明な手続きなど。米コカコーラが現地企業を買収できなかったように中国当局が外国企業による現地企業買収を阻止している点にも懸念の声が出ている。また当局は技術革新政策を促進しているものの、外国企業が製品の政府調達を獲得したいなら特許技術やその他の情報を引き渡すことを迫られるという。

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中国政府はこうした懸念に応えて公共調達の転換などに着手しており、今年4月には温家宝首相が欧州企業の代表に会って差別的な扱いはしないことを強調していた。

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しかし今回の結果について在中国欧州商工会議所のドゥ・ボワッソン会頭は、「欧州企業の中国市場への投資は無条件なものではない。考えうるリスクがかなり明らかになってくれば企業の進出や投資は消え失せる」として、規制面の問題がいつまでも続くことは長期的な投資先として中国の魅力を損ない、逆に明瞭で見通しのきくビジネス環境によって投資が強化されると指摘した。

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今年初めには在中国米国商工会議所も中国は外国企業に対して公平ではないとの懸念を表明し、同会議所が3月に公表した会員企業に対する調査では、不公平な政策のため歓迎されていないと感じる企業が増えていることが明らかになっていた。

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