2010/7/5

欧州ビジネスウオッチ

テレフォニカ、ヴィーヴォ買収額を再引き上げ

この記事の要約

スペイン通信最大手テレフォニカは6月27日、ブラジル最大の携帯電話サービス会社ヴィーヴォを共同運営するポルトガルテレコム(PT)に対して、71億5,000万ユーロでPTの株式持ち分を取得し、ヴィーヴォを完全子会社化するこ […]

スペイン通信最大手テレフォニカは6月27日、ブラジル最大の携帯電話サービス会社ヴィーヴォを共同運営するポルトガルテレコム(PT)に対して、71億5,000万ユーロでPTの株式持ち分を取得し、ヴィーヴォを完全子会社化することを提案した。PT株主の過半数は同提案を受け入れたが、PTの株主であるポルトガル政府が介入し、「ゴールデン・シェア(黄金株)」を行使して買収受け入れを拒否するという事態になっている。

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テレフォニカとPTは、ヴィーヴォの株式60%を保有する持ち株会社ブラジルセルに折半出資している。テレフォニカは5月11日、ブラジルセルに対するPTの株式持ち分を57億ユーロで取得し、ヴィーヴォを傘下に収めることを提案したが、PT側が拒否。テレフォニカは6月1日に買収額を65億ユーロまで引き上げ、これも拒否されたが、PT側は臨時株主総会を開催して買収の可否を問う方針を打ち出していた。

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テレフォニカは30日の株主総会の直前に、買収額を従来と比べて10%高の71億5,000万ユーロまで引き上げ。PT株主の74%が受け入れを支持した。ところが、特別な権利が付与されたゴールデン・シェアを持つポルトガル政府が買収に拒否権を発動した。

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これに対し欧州委は、加盟国政府がゴールデン・シェアを握ることで国内企業への影響力を保持し、合併・買収などの重要案件に拒否権を発動することはEU法に反するとして反発。欧州司法裁判所でもゴールデン・シェアは違法とする判決が相次いでいることから、今回のケースも政府の介入が違法と判断されるのは確実。テレフォニカは株式公開買い付けの期限を延長して、欧州裁の判断を待つ。AP通信などによると、欧州裁は今月8日に判断を下す予定という。

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