2010/7/12

産業・貿易

スリランカへの特恵関税停止、人権保護を問題視

この記事の要約

EUは5日、スリランカからの輸入品に対する関税を一部免除する一般特恵関税「GSPプラス」の適用を8月15日から停止することを決めた。スリランカ政府が人権保護の取り組みを怠っているため。\ スリランカ政府は分離独立を目指す […]

EUは5日、スリランカからの輸入品に対する関税を一部免除する一般特恵関税「GSPプラス」の適用を8月15日から停止することを決めた。スリランカ政府が人権保護の取り組みを怠っているため。

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スリランカ政府は分離独立を目指す少数民族のタミル人との内戦で、タミル人の一般市民に対する無差別殺戮など人権侵害で国際的な非難を受けたが、2009年5月に政府軍の勝利に終わった。EUは1年間にわたる独自調査の結果、同国政府に対して国連人権条約に規定された拷問禁止や児童の権利、市民・政治の権利を確立するよう求めた。当初は2月に一般特恵関税を停止する方針だったが、人権問題の改善を文書で約束する代わりに6カ月間の猶予を与えた。しかし文書の提示がなかったため、EUは6月にさらに6カ月後に先延ばしする代わりに7月1日までに文書を再度提示するよう求めたものの、スリランカ政府はこれを怠ったことから停止に踏み切ることになった。

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GSPプラスは16カ国に対して人権や労働者の権利、持続的開発などで改善を求める代わりにEUへの輸出で関税の大幅免除を提供している。2008年にスリランカのEUへの輸出額は衣料品や水産物など12億4,000万ユーロに上る。

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EUの決定に対してラジャパクサ大統領は「気にしていない」として特恵関税は必要ないとの強硬姿勢を示した。政府も影響は年に8,500万ユーロ程度にすぎないとして、EUが求める条件を受け入れないと繰り返している。一方EU側は、今後も協議の用意があることを示したものの、スリランカ政府の人権保護の約束にかかっていると強調している。

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