2010/7/19

産業・貿易

欧州委と英BATが協定を締結、タバコ偽造・密輸取り締まりを強化

この記事の要約

欧州委員会は15日、英タバコ大手のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)とタバコの偽造や密輸の取り締まりを強化することで協力する協定を結んだと発表した。その一環としてBATは向こう20年間にわたり総額2億ドルを欧州 […]

欧州委員会は15日、英タバコ大手のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)とタバコの偽造や密輸の取り締まりを強化することで協力する協定を結んだと発表した。その一環としてBATは向こう20年間にわたり総額2億ドルを欧州委および加盟各国の当局に提供する。

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偽造タバコの生産は中国をはじめロシアやウクライナで多く、コンテナに積まれた1,000万本の偽造タバコが見つかったこともある。最近ではEU域内での生産も増えているという。一方、密輸はEU内よりタバコ価格が安いロシアやウクライナ、モルドバ、ベラルーシからの流入が多い。

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こうした偽造や密輸によりEU加盟各国は年に最大1,000億ユーロの税収を失っているうえ、違法な供給網は合法的な販売網に打撃を与えるほか、違法取引はテロや組織犯罪などの資金源となっていることも多い。またBATによれば、経済的損失だけでなく品質管理もない違法な工場で生産されたタバコは安全性にも問題があるという。

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「ダンヒル」や「ケント」、「ラッキーストライク」などのブランドで知られるBATは20年間に2億ドルを提供し、この資金は税関の訓練や違法なタバコの捜査や押収、供給源の追跡などに投じられる。またEUとBATは欧州の内外で違法行為の取り締まりを強化するため情報交換などで協力体制をとる。

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さらに協定では、BATが一部のタバコケースにバーコードで読み取れるデータを付けてタバコの販売地点まで追跡できるようにするとともに、EUがBATタバコの密輸品について一定量以上を押収した場合にはBATがEUに支払いを行うことも取り決めた。

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欧州委のシェメタ委員(税制・関税同盟、監査・不正防止担当)は今回の協定について、「タバコの違法取引対策に大きく寄与するとともに、当局とタバコ業界が協力して対応することを犯罪者に示すものとなる」と語っている。

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