2010/7/26

総合 –EUウオッチャー

財政規律違反への制裁で独仏共同提案、違反国の投票権はく奪を要求

この記事の要約

ドイツのショイブレ財務相とフランスのラガルド財務相は21日にパリで会談し、EUの財政規律に違反した国への制裁について、共同提案をまとめた。違反を繰り返す国に対して、EUの政策決定における投票権を一時的にはく奪することを求 […]

ドイツのショイブレ財務相とフランスのラガルド財務相は21日にパリで会談し、EUの財政規律に違反した国への制裁について、共同提案をまとめた。違反を繰り返す国に対して、EUの政策決定における投票権を一時的にはく奪することを求めるもので、欧州委員会の案より厳しい内容だ。

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EUは6月中旬の首脳会議で、ギリシャ危機の再発防止に向けた財政規律強化策の一環として、規律違反国への制裁を強化することで合意。具体策は10月のEU首脳会議での決定を目指し、欧州委員会とファンロンパイEU大統領を座長とする作業部が検討している。

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欧州委が6月末発表した具体案は、EU補助金の支給凍結、制裁金として一定額を有利子で積み立てさせるといった内容。ドイツが強く提唱していた投票権はく奪は盛り込まれなかった。

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投票権をはく奪する案をめぐっては、EU基本条約の改定が必要で、複雑な手続きを要することから、フランスなど多くの加盟国は慎重な立場だった。今回の独仏共同提案では、投票権はく奪を「法的拘束力のない(加盟国による)政治的合意」の形とし、条約改定をしないで実現することを打ち出している。つまり、ルールとして明文化しないが、加盟国の了解に基づいて、違反国は「慣習」として投票を棄権するというシステムとなる。

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両財務相は提案を共同書簡の形でファンロンパイEU大統領に送付し、検討を求めている。

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