2010/8/9

産業・貿易

EUの穀物収穫量、今年は例年並み

この記事の要約

欧州委員会は4日、EU27カ国の2010年の穀物作況予想を公表した。これによれば、今年前半は冬に暴風雪や低温、春から夏に洪水や干ばつに見舞われた地域が多かったものの、好天に恵まれた地域もあったため、収穫量は全体として例年 […]

欧州委員会は4日、EU27カ国の2010年の穀物作況予想を公表した。これによれば、今年前半は冬に暴風雪や低温、春から夏に洪水や干ばつに見舞われた地域が多かったものの、好天に恵まれた地域もあったため、収穫量は全体として例年並みとなる見通しだ。

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1ヘクタール当たりの収穫量は5.1トンで、過去5年の平均を5%上回り昨年より0.7%多くなる見込みだが、作付面積が昨年に比べて3%ほど減るため全体の収穫量は昨年並みという。

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3月までは低温となった地域が多く、春以降は英国の一部やフランス西部、ドイツ北部、ポーランド東部、ギリシャで干ばつとなり、ポーランドやハンガリー、ルーマニア、チェコ、スロバキアでは洪水の被害を受けた。しかし、イタリアやスペインは好天や降雨量に恵まれ、フランスの北部・中部やベネルクス諸国、ドイツは6~7月に高温となった。このため国別ではスペイン、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ブルガリアで小麦や大麦の増産が見込まれ、ギリシャやポルトガルは例年を下回る見通しだ。

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1ヘクタール当たりの収穫量を主要品目別でみると、トウモロコシが過去5年の平均を7.7%、昨年を5.3%それぞれ上回るほか、ヒマワリも過去5年の平均より7.2%、昨年より6.0%多くなる見込み。ジャガイモは6.9%、大麦は4.4%、テンサイは2.3%、軟質小麦は1.7%それぞれ過去5年の平均を上回る見通しだが、パスタに使われるデュラム小麦は過去5年平均で0.3%増とほぼ横ばいで昨年と比べると3.9%の減産となり、ナタネは過去5年の平均を2.4%下回るうえ昨年に比べて8.9%減少するという。この予想は7月10日以前のデータに基づくもので、今後の干ばつや洪水で変わる可能性もある。

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一方、記録的な猛暑と干ばつに見舞われているロシアでは穀物の減産が見込まれ、2009年に約9,700万トンに上る収穫量が今年は7000万~7,500万トンに減ると予想されている。このため政府は5日、今月15日から12月末まで穀物および穀物製品の輸出を一時的に禁止する措置を発表した。穀物の国内価格上昇を抑えることを狙ったものだが、これにより小麦など商品価格の世界的な高騰に拍車をかけるとの懸念が出ている。

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